<笑いが怖い>
生理現象よりも何よりも怖いもの。
・・・それはお客様なんですね。
もちろん、常に一番怖い存在なんですが、
時によって、
また違う怖さが現れることもあって・・・。
今回、どうしようかと思ったのは、
お客様の笑いでした。
笑ってもらって困る、なんて、
こんな贅沢な話はないんですが、
一度、
やたらと笑いの多い回があったんです。
何人かのお客様が、かなり笑う方で、
もう本当に、何やっても笑いがくるんです。
もちろん、笑いをとるシーンもたくさんあるので、
前半は、
(うわ~、楽だな~、ありがたい)
と調子にのっていたのですが・・・。
なんというか、
坂道を駆け下りて、止まらなくなっちゃう感じ?
ここは絶対に静まり返って、
おい、こいつ、ヤバいぞと、
固唾をのんでいただきたいシーンで、
なぜか、数人のお客様が大爆笑

客席全体が、
ぎくしゃくした空気になってしまって。
(どうしよう・・・)
正直、そう思いました。
自分たちで解決できることならいい。
でも相手はお客様。
だけど、このまま笑い続けられたら、
この芝居、成立しなくなっちゃうぞ

(ここは気持ちを静めてもらうしかないな)
間のびするのは怖いけど、
笑いがおきるよりマシと割り切って、
間を長くするなど、少し芝居を変えながら、
冷静になって頂けるのを待ちました。
おかげさまで、
だんだん落ち着いてこられて、
ホッとしましたが、
こういう怖さは初めてでした。
楽しみ方は人それぞれなので、
こちらが文句を言う筋合いではありませんが、
芝居が、
こちらの意図と違う方向に行ってしまうと、
他の大勢のお客様に迷惑になる。
難しいですね~。
完全なコメディをやっているときに、
滑りまくって、客席が静まり返る、
あの情けなさは、夜中にうなされるほどで、
それを思えばありがたいんですが、
そうは言ってもね。
お客様の笑いを貯めておけたら・・・って、
切実すぎて、これは笑えないわ(笑)
「役者殺すにゃ刃物はいらぬ。
あくびのひとつもすればいい」
昔の人はうまいことを言ったもんです。
<つづく>


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