「覆面レスラーのハヤブサ死す 江崎英治さん47歳、くも膜下出血で」
もう、ちょっと、なんとも言葉が出ません。
本当にショックです。
もう10年近く前になるでしょうか。
「飛行機雲」というお芝居に何度か出して頂いて、
その時に、いつもご一緒してたんです。
特攻隊を描いた芝居だったので、
毎年8月に再演を重ねていたんですが、
毎年お目にかかるたびに、
驚くほどの回復を遂げておられて、
一番最初にお目にかかった時は、
車いすから立ち上がることも難しかったし、
手もうまく動かなかった。
セリフの声も小さかった。
それが翌年には、
車いすから、お1人で立ち上がれたし、
1人でタバコを吸うことができた。
その時に舞台で歌った歌が、あまりにも素敵で、
稽古で初めて聴いたときに泣いてしまって、
すぐにご本人からCDを買いました。
サインももらっちゃって。
あ、その時にはもう、サインまでできたんだ。
そしてその次の年には、
一歩、二歩くらい杖で歩いておられたし、
「あれ、タバコは?」と聞いたら、
「吸えるようになったから、やめました」と。
セリフの声も舞台に響くようになっていた。
たまたま、2人とも出番の少ない役だったので、
待ち時間が多くて、
3年目のときだったか、
たまたまずっと1時間くらい、
稽古スタジオのロビーで、
2人っきりでおしゃべりしたことがあって、
プロレスになんの興味もないオバサンに、
いろんな話をして下さった。
そして自分のこと。
とにかくプロレスが好きなんです、と。
リハビリもただただ、もう一度リンクに立ちたい、
その一念で頑張っているんです、と。
また、
プロレス興行の大変さとか、
自分たちで会場を設営することもある話とか、
そして、
闘病のこと。
「頭から下、まったく動けなくなって。
死にたかった。
でも、俺、自分で死ぬことすらできないんだ、って。
苦しかったですね」
10年近く前の話なのに、
今でも鮮明に覚えているのは、
聞いている私の方が、泣きそうだったから。
ご本人は淡々と話されていたけど、
その事実の重さに、返事すらできなかった。
舞台では当然、違う人間の役を演じておられて、
だから素顔のままだったけど、
カーテンコールでは必ず、
トレードマークのマスクをかぶって登場しておられて。
ああ、何をやっても、
ハヤブサであり続けたいんだな、と胸が熱くなった。
ハヤブサさんのことだから、
絶対に「奇跡の復帰」をされるに違いないと、
本当に、なんの疑いもなく信じていた。
だって、あそこまでの執念をもって、
あそこまでの見事なリハビリをされて、
あそこまでプロレスを愛しておられたんだから。
そりゃないよ。
いくらなんでも、神様、残酷だよ。
なんか、まとまらぬままですが、出しちゃいます。
ほんとに、神様、ひどいよ(T_T)