MBS毎日放送によると、通勤中に交通事故に遭い、軽度外傷性脳損傷の後遺症があったのに労災認定に含まれなかったとして、神戸市の男性が現在の労災認定取り消しを求めた裁判で、神戸地方裁判所は男性の訴えを退けたそうです。
神戸市に住む49歳の男性は2009年、神戸市兵庫区でバイクで通勤途中に車と接触して転倒し、頭や顔面を骨折するなどの大けがをしたのです。 その後、右半身のマヒが残るなどして専門医から*軽度外傷性脳損傷(MTBI)と診断されましたが、神戸西労働基準監督署は「画像所見が認められず脳の障害は事故によるものと認められない」などとして首の捻挫や額の挫創についてを労働災害として認めた「障害等級併合第8級」としました。しかし、男性は2017年、「画像所見は認められないが、WHOの定義で軽度外傷性脳損傷に当てはまり(より重い)障害等級併合第4級となる」などとして、国に8級の認定取り消しを求めて神戸地方裁判所に提訴したのです。
これはどういうことかと言うと、労災保険から保険給付がされるためには、労災保険制度(労働者の業務上の事由または通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進等の事業を行う制度)の性質上、通勤による(労働者の)傷病でなければならないからなのです。そして、裁判所は、その男性の軽度外傷性脳損傷(MTBI)は通勤中に遭った事故によるものではないと判断したのです。
*交通事故や外傷などで、頭を打ったり、頭が強く揺さぶられたりすると、脳に衝撃が伝わり、脳損傷が起こることがあります。WHO(世界保健機関)の定義では「30分以内の意識消失、24時間未満の外傷健忘を示す脳損傷」は、MTBIと呼ばれます。