京都楽蜂庵日記

ミニ里山の観察記録

近代医学と自然治癒エコロジー派の相克

2020年06月13日 | 環境と健康

 近代医学を支える思想は特定病因論である。一つの病気には、それに対応する一つの原因があり、それを取り除けば病気は治るとする。インフルエンザに罹れば、抗ウィルス剤と解熱剤を投与して原因ウィルスを体内から駆逐すればよい。

一方、エコロジー派の人は次のように主張する。ヒトはもともと自然治癒力を備えているので、副作用のリスクのあるクスリは必要ない。子供が高熱を発すると、すぐに解熱剤を投与する傾向にあるが、風邪の発熱は体内に侵入した病原体を熱で弱らせるための防御手段である。下痢もまた、毒物を一刻も早く体内に排出する緊急措置である。それをクスリによって抑えることは結果として病気の回復を遅らせるものだという(現にコレラ患者に下痢止めを与えると死亡率がたかまる)。プラトンもその著『共和国』で、病院や医師が多数、必要な都市は悪い都市であると述べている。

  医者が基本的にもうけ主義で、だいたい不要な検査や治療を施すこと、それはかえってリスクがあることを市民は知っている。ただ、敗血症になりかけの患者は、ただちに抗生物質の投与が必要だし、熱中症で脱水症状の子供には点滴が必要になる。そういった時は、理屈ぬきにお医者サマに頼らなければならない。

 大部分の日本人は「近代医学か自然治癒エコロジー」かといった極端な二分法は採らずに、状況に応じて適当に使い分けている。新型コロナウィルス感染症(Covid-19)に関しては、今のところ適切な治療法は見当たらないので、賢い市民の場合は少し体調が悪くても病院には近づかず、自宅で安静を保つようにしている。ただの風邪なのに、PCR反応が擬陽性で指定病院に隔離され、そこでウィルスに感染しては、たまったものではない。

 老化と癌だけは、自然治癒力を今のところ期待できない。だったら、これらは近代医療のお世話になるのかどうか問題になるが、それぞれ医者が何をしてくれるかを冷静に見極める必要があるということだ。

 

 

 

 


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