今、黒谷の東斜面の森では山藤がいっぱいに垂れ下がって咲き、この季節の名物となり市民の眼を楽せませている。
黒谷の隣はしろしそばの花 蕪村
蕪村は仏光寺の釘隠町に住んでいた頃、左京区一乗寺の金福寺まで歩いて出かける事があった。この寺の芭蕉庵で開かれる句会に出席するためである。
途中、黒谷の茶店で一服したものと思はれる。そこは少し小高い丘のようになっており、あたりを見渡すと蕎麦畑で白い花が一面に咲いている。
今や蕎畑の面影はないが、近くの聖護院にはまだ古い蕎屋さんがある。黒谷で滝のように藤の花が咲くようになったのはつい最近のことであるが、蕪村がこのような藤を見たかどうかは記録にはない。
黒谷を鎮(しず)めて藤の花垂れり 楽蜂
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