現代医学が自ら生み出し、稼ぎの種にしている「病気」には、ソフト的なものとハード的なものがある。前者の典型的な例として子供の注意欠如・多動性障害(ADHD)が、後者の例として高脂血症がある。
注意欠如・多動性障害とはそもそも何事なのだろうか?哺乳動物の子供の記録動画を見ればわかるように、彼らはすべて多動である。多動でない動物の子供は病気である。
ADHDに関するある本に、次のような子供達には治療を施すべしと書いてある。
「かんしゃく持ちの子供、寝ない食べない、言葉がなかなか出ない、頑固である、クラスになじまない、友達に手がでる、授業中座っていられない、計算が極端に苦手、人間関係がうまくいかない子供など」
庵主の子供時代には(そして今も)こんな子供はゴロゴロいたし、自分自身にもいくつもあてはまる。しかし、親が心配して医者につれていくことなんかなかったし、どの友達もちゃんと成長して普通の人生を送っている。子供を含めて、これらの性向はすべて人間の多様性を表現したもので、全体としてきわめて健全な状態である。おとなしい子やガチャガチャした子が仲間にいて、その相互作用の中で成長していくのである。
いつ頃になって、医者(小児学会?)はこんな「病気」を作ったのだろうか?「治療」が心理療法のようなものであれば、子供にとっては退屈な時間つぶしであろうが、薬剤治療となると、これは社会的な大問題である。
最近では、ますます多くの学童がADHDの治療のためと称して、リタリンのような興奮剤を服用させられている。2011年にはアメリカで350万人もの子供が、これの薬剤治療を受けている。イギリスでは、その数は1997年の9万2000人から2012年には78万6000人に増えている。さらに、「症状」のない子供達までが成績を上げる為に、これを服用しているらしい。一種の合法麻薬である。関連する製薬会社は利潤が上がれば、これの薬害なんか知らんふりである。医者も、患者がいてナンボの商売なので、これを問題にする人は少ない。
世界におかしな子供なんて一人もいない。世のお父さんお母さんしっかりしてください。
高脂血症(高コレステロール血症)は、血中の悪玉のLDLコレステロールが140mg/dL以上を「病気」としたものである。これは2007年日本動脈硬化学会のガイドライン改訂で決まった。しかし、これを病気とする科学的な基準は何もない。予防という点でもLDLコレステロール値が高い人が将来、心疾患など血管系の障害がでるというデータもない。ともかく、高脂血症という病気の宣告を受けてメバロチンなどのコレステロール合成阻害剤を人々は飲まさつづけている。
メバロチン(第一三共)はHMG-CoA reductaseの阻害剤である。この酵素は肝細胞のミクロゾーム膜に局在する膜酵素である。HMG-CoAをメバロン酸に変換する酵素で、メバロン酸はコレステロールの前駆体なので、これが阻害されるとコレステロールのde novoの生合成が低下する。メバロチンは2003年に約1000億の売り上げがあり、現在でも後継薬が同じ位の売れている。若い頃からこれを常用すると生ずる副作用や影響は動物実験では確かめられるものではない。コレステール値が高いことが、身体にリスクであると考える人は(庵主はその根拠はあまりないと思う)まず食事や運動に注意して生活すれば良い。
参考図書
ユヴァル・ノア・ハラリの著「ホモ・デウス」(2018、河出書房)
佐藤純一、美馬達哉 『近頃モンダイのクスリ』1994 宝島
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