京都楽蜂庵日記

ミニ里山の観察記録

民主主義とファシズム:池内紀の「ヒトラーの時代」より

2024年04月26日 | 評論

 

 池内紀著の「ヒトラーの時代: ドイツ国民はなぜ独裁者に熱狂したのか」は形式的民主主義が、油断していると、たちまちファシズムに転化してしまうことを述べている。

 ナチスはその政権の独裁制を世界から非難されるたびに、その決定は民主的な手続きのもとに生まれたことを力説した。いかなる武力(クーデター)で権力を強奪したわけでなく、憲法で規定された民主的な選挙で選ばれたこと、つねに国民の審判を仰いだことを強調した(ただ悪賢いナチスはワイマール憲法の”バグ”=非常事態法を利用した)。確かに政権についた1933年1月より政局の展開のたびに国民投票が実施された。国際連盟脱退、ヴェルサイユ条約軍備制破棄、再軍備、ラインランド進駐など、国運を左右する決定のたびに国民投票で、それの可否を問うた。さすれば、有権者の多数の意思(意見)を集約する形式だけでは、なんの意味はなく、ファシズムの培養器ですらある。民主主義のかめのは、形式だけでなくプラスαとして何が必要なのか? 

 

 


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