2010年7月14日(水曜日)
敦賀を出るころは雨模様だったのに、
今庄を過ぎたあたりでは、空が明るいのに
おどろいた。
ときおり、厚い雲のすきまから陽の光がさしこみ
青々とした田んぼが輝いて見える。
車もスイスイと走り、9時前には病院に到着。
受付をおわり、診察室に続く展示ロビーを通りかけたとき
目に飛び込んできたのは、朝倉精道展の看板・・・
病院で朝倉さんのステキな絵に会えるなんて!
絵をみてまわり、置かれていたノートに
名前を書いてきた。
ハガキ大から8号の作品が31点、展示されていた。
小さな額縁の中のあたたかく懐かしい風景は、
心の中で息づく宮沢賢治の世界へと
わたしを誘い込む。
朝倉さんの絵には、土や人々の暮らしの匂いがある。
都会では嗅ぐことのできない牛小屋のにおいがする。
とうの昔に人々が忘れてしまった匂いがする。
そんな朝倉さんの絵が大好き!なのだ。
「娘をさらう鬼め」と題された絵の前でわたしは
身動きできなくなっていた・・・
娘さんを乳がんで亡くされた朝倉さんの心のなかを
垣間見た気がした。
家族で支えあい、娘さんの病気と闘ってきた経緯を
知っているわたしは、ただただ絵の前で
悼むことしかできない。
でもわたしはこの絵が、一番好きだ。