映画を観た。
★007 慰めの報酬
監督:マーク・フォースター
歌:アリシア・キーズ・アンド・ジャック・ホワイト
キャスト:ダニエル・クレイグ オルガ・キュリレンコ マチュー・アマルリック
2008/イギリス、アメリカ
「ゼロゼロセブン一枚」とシネマカードを出だすと、受付のお姉様は、にこっと笑って「ハイ、ダブルオーセブンですね」。思わず苦笑い。ショーン・コネリーのボンドは「ゼロゼロセブン」と読んでいたのである(日本では)。
ダニエル・クレイグが“6代目ジェームズ・ボンド”を演じる人気スパイ・シリーズの最新作。前作で愛する女性を失った英国諜報員ボンドが、憎き敵に戦いを挑む!テロ資金源壊滅の任務を共にした女性ヴェスパーを愛したものの、裏切られたうえに死なれてしまったボンド。彼女を操っていた組織を追ううちに、その幹部を務める謎の男グリーンの存在に突き当たる。
ボンドもとうとうサイボーグになった。
話は、南米のある利権をめぐって、ワルが儲け話に手を出し、ボンドが阻止するという単純な展開なんだけど、そこに、前作「カジノ・ロワイヤル」の続きとしての復讐劇がからんでくる。復讐の鬼と化したボンドの凄い表情が殺人鬼を思わせた。登場するワルがちょっと小ずるい小物すぎて、強烈な個性がなく、全体のスケール感が小さくなり、物語の奥行きの狭さが気になった。
40年以上も続いているシリーズである。「007」である以上ある種の定番事があり、それがウリでもある。ボクらはそれを好むと好まざるにかかわらず、思い浮かべながら観に行くが、過去から引き継いだイメージとは余りにもかけ離れたモノに変質していることに気づき、戸惑いを感じてしまった。砂漠を舞台にした場面が多かったせいか「渇き」を感じ、観た後、何か「飢え」も感じさせてくれた。
エンディングの銃声で、全てを忘れ「スカーと爽やか」になるはずであったが、時代の混沌を感じてしまった。