映画を観た。
★中国の植物学者の娘たち
ゆったりと流れる時間の中で、熟成されるような自然と、人間の感情を繊細に捕らえた美しい映像が際立ち、アジアンテイストたっぷり。ダイ・シージエ監督のインタビュー記事を読むとつい笑ってしまったが、女性に好意的に受け入れられているという話にはうなづきます。ヒロインたちの心の動きを追いかけながら、男には絶対触れることができない女性のしなやかな強さ、美しさを魅せる映画です。艶やかな緑に包まれた植物園で二人が愛を交わすシーン、愛を囁き合う姿の美しさはダイ・シージエ監督の最も描きたかったシーンでしょう。思わず陶酔。二人が迎える運命は衝撃的ですが、ラストの場面で、魂が解放されたような穏やかな気持ちがふわーと広がり、ほっとして終わります。
抑圧されているが故に、「自我に目覚める」過程はいっそう美しく鮮烈に描かれます。壮大な自然を背景に美しく繊細で、そして何とも言えない耽美な作品。映画の中では、意識的に描かれている自然の水、穏やかな潤いある空気、時には張り付くような湿度、そして濃く鮮やかな緑。
アジアの世界です。
アジア人である監督が一番描きたかったのはこのアジア的世界かなとも感じました。壁を拭くと鯉の絵が現れるシーンと船遊びの途中で見かけた結婚式のシーンはびっくりする美しさです。まさにアジアです。