人の魅力、国の魅力
野球の金メダルをはじめ、北京オリンピックでの韓国選手の活躍には、韓国人の多くが歓喜し、勇気付けられたのではないでしょうか? オリンピックが政治的に利用され、商業主義的に傾いている面は否定できないかもしれませんが、スポーツの中で、人間が極限まで鍛え、努力し、競い合う姿はやはり感動的です。
ただ、今回のオリンピックで報道された内容で、気になったのが中国観衆の嫌韓?感情です。例えば韓中の試合は当然としても、韓日の試合でも中国の観衆は、日本を応援するとのことです。それ以前から、インターネットの世界では、歴史問題から 一部韓国側との中傷合戦が、ありましたが、今回、韓中の国民感情はさらに悪化しているのではないかと危惧します。韓日関係も独島問題等でぎくしゃくする中、アジアにおける孤立化が心配されます。
人の魅力とは、魅力的な顔とは何かを研究のテーマとしている私が、今回 国の魅力について考えてみました。生物界での魅力は子孫繁栄を目的に、配偶者を惹きつけるためのものです。ライオンのたてがみも、孔雀の羽もそれが立派であるほど異性を呼び寄せることは証明されています。人間とくに現代社会ではそう単純ではありませんが、同姓であれ、異性であれ、相手に好感を持たれ、魅力的であることは 関係を潤滑にし、相互理解高める助けになることは間違いないでしょう。魅力の重要性を国際社会の中で国に当てはめた場合も同じことが言えるでしょう。ハーバード大学のジョセフ・ナイ教授が提唱したソフトパワーはまさに、国家戦力としての国の魅力の必要性でした。
国の魅力をはかる調査として英国の‘世界に良い影響を与えている国’というアンケートがあります。日本は2年連続でトップでした。国のブランド価値の試算でも日本はGDP比224%に対し、韓国は37%でしかありません。国の魅力の要素には、文化、歴史、政治、国民意識など多くのものがあり、それをさらに対外的にアピールできる手段が必要です。一朝一夕でなるものではないでしょう。しかし、ある程度の経済成長を遂げた今、これからの為に最も急務かもしれません。
魅力的な顔の第一歩は、誰かに見られているということ、そしてそれを意識して行動することだと考えます。国においても同じではないでしょうか?
『東洋経済日報 2008.9.19掲載』