人と人の距離
韓国に訪れた日本人には、若い女性同士がよく手を組んで歩いている光景が印象的に映るようです。若い女性に限らず、スキンシップに関しては、日本よりはるかに豊富ではないかと思います。先日 韓国出張の折、電車内で 高校生ぐらいの男子と母親が電車の中で手を握って座っている姿を見て 正直、多少違和感を覚えました。(顔が似ていたのと、二人の会話から親子であることは間違いないです・・・念のため)
人と人の距離感の基準に、パーソナルスペースという概念があります。これは、個人が持つ 見えないバリアのようなもので 個人空間、縄張りとも表現できますが、そのスペースに人が侵入してきたとき心理的不快を感じる距離です。例えば、電車に乗ったとき、席が空いていればお互いに離れて座ろうとするのもこの意識が働くからです。勿論 パーソナルスペースは、様々な条件によって変化します。例えば、好きな韓流スターが近くにいれば、そのスペースは狭まるでしょうし、酔っ払いの男がいれば、広くなると言った具合です。そして、地域、文化、民族においても微妙に違いがありうるのです。一般的に日本人のパーソナルスペースより、韓国人のパーソナルスペースは狭いと言うことかもしれません。
小さなスペースを有効に利用すると言う点では、日本人は非常に優れた民族です。盆栽、幕の内弁当から、車、家の設計まで、よくぞこんな空間に様々な機能を詰め込んだと思わせるものは多くあります。しかし逆に言えば、人間関係もはっきり区切ることを望む意識が働くのかも知れせん。狭い国土のなかで生きている二つの民族でも、人間関係のあり方には差があるようです。愛憎はともかく、ふれあい、ぶつかり合って相手を知ろうとする韓国人の方がより人間らしく感じるのは私だけでしょうか。
『東洋経済日報 2008.10.10掲載』