故郷忘じがたく候
朝鮮の古代国家・百済(ベクジェ・くだら)の都があったとされる公州市と扶余郡で、「今回のイベントに期間中、韓国の扶余郡は、世界最古の企業とされる「金剛組」の39代目金剛利隆氏(88)に対して、名誉郡民賞を授与しました。金剛組は、飛鳥時代の578年、聖徳太子が最初の官寺となる四天王寺を建立するために百済から招いた工匠の一人、金剛重光が創業したといわれています。しかし、1400年以上続いた世界最古の企業というだけでなく、百済文化の日本伝来を象徴する末裔として、この祭典のシンボルの一つと評価できるでしょう。
この記事を読んだ時に、学生時代に読んだ司馬遼太郎の短編「故郷忘じがたく候」を思い出しました。この話の舞台は、薩摩焼の窯里、苗代川。十六世紀末に朝鮮の役で島津軍の捕虜となり、薩摩へ流れ着いた陶工たちの悲哀の物語が中心です。その中で 薩摩焼第14代沈寿官が、少年期から青年に成長する過程で、己が何者なのか悩み、やがて反発し続けていた父の道を、自分も歩むようになる過程が、淡々と語られています。帰化はさせられたものの、連れてきた朝鮮陶工たちに対し薩摩藩では士族として礼遇しました。しかし彼らは姓を変えず、故郷への想いを子孫に語り続けました。故郷とは何か、民族とは何か、今だ 私たちも考え続けている問いです。
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