「ジュースやお菓子、インスタント食品などを多く食べる子供は、精神的に不安定でキレやすい性格になる。」という説が、日本でも話題になったことがあります。何となく、もっともらしい話ですが、実際の因果関係は明確ではありません。しかし食事と精神状態に関係する調査や研究は、以前から何らかの関連性があることは多くの学者たちの間で示唆されていました。
最近の論文では、ロンドン大学チームの研究から高脂肪な食品や加工食品、甘い御菓子などを習慣的に食べる人達は、果物や野菜、魚を中心とした食生活を送る人たちと比べ、うつ病になる確率が 58% 高くなるという研究結果が発表されました。「やはり高脂肪、高カロリーの食品は体に悪くて、その上うつ病にまでなるものか。」と納得できる結果ですが、先日こんな研究結果も発表されました。ベルギーのルーバン大学の研究者らによると脂肪分を多く含む栄養液を摂取した被験者は悲しい音楽を聞いたり、暗い表情の人の写真を見せられたりしても食塩水を摂取したグループに比べ心が落ち込む度合いが低かった。これを受けてむしろ脂肪成分が、うつ病治療に対して臨床的な意味を持つ可能性に触れています。一見、相反するような結果ですが、どう解釈すべきでしょうか。私なりに考えてみましたが、一つは高脂肪成分が不安や、うつ状態を改善する働きがあるとして、むしろそのような状態の人が、ジャンクフードやファストフードを多く好む結果、ロンドン大学チームが示した研究結果が出たのではないかということです。もう一つの仮定は、ファストフードや加工食品中心の食事をする人たちが、ある意味すでにゆとりのある食卓の豊かさという点からは、離れた環境にいるのではないかという点です。
日本に限らず韓国でも食生活の欧米化や多様化が進み、子供の中にはキムチ嫌いも増えています。そして特に低所得家庭ほど、キムチの消費量が少ないという調査結果が数年前のアンケートで報告されました。これはキムチの他、ごはん、おかずと言った当たり前の食卓を準備する金銭的、時間的余裕のない家庭では、安く手間のいらないラーメンなどの加工食品やファストフード消費が増える現実があるようです。幸い飢えの心配をしなくなった私達も改めて食卓の在り方と心の豊かさ、幸福につては考える必要があるかも知れません。