すべすべで透明感のあるきめ細かい肌・・・誰でも望むことです。ケミカルピーリングやその他のピーリング治療に多くの人が期待するのは、表面がざらざらした木肌の表面をヤスリなどで削ってあげることで表面がすべすべするように、人間の肌もピーリング(削皮)することできめ細かくなるといったイメージではないでしょうか。
クリニックやエステなどで多く行われているケミカルピーリング治療は、一般的にグリコール酸(フルーツ酸)、サリチル酸、トリクロロ酢酸などの溶液を適度な濃度に薄めて肌に数分間塗布し皮脂や角質を科学的に溶解するという施術です。
この治療の適応と考えられるのは、ニキビの炎症が治まりにくい方、特に脂肌と考えられる方です。適度の濃度で、数回治療をおこなうと確かに、ニキビが治まり、肌の状態が改善されていきます。しかし、あくまでも一時的な治療であり、長期間だらだらと志向するものではないと考えます。
また、むしろ普段から肌の乾燥を感じやすい方、敏感肌の方にはピーリングは適応でないどころか、逆効果かも知れません。なぜなら、正常な肌の状態を守っているのは他ではなく、自分自身の皮脂によって形成された皮脂膜とその下にある角質層であるからです。
現代女性はそれでなくても、夜になれば化粧品を落とさなければいけないとか考え、クレンジング、ダブルクレンジング、さらに洗顔と必要以上にはだのバリアーを洗い流していることが多く、その後どんな化粧水や栄養クリームを使用してもはるかに優秀な自分の皮脂、角質で構成されたバリアゾーンを完全にカバーできるものではないのです。(化粧品を落とす意味と考え方に関しては別の項で説明します。)
そのような女性の肌に、クレンジングよりさらに強い酸によるピーリングをおこなえば、肌が改善するどころか痛める原因になりなりうることは単純に考えても理解できると思います。そもそも肌を保護している正常な角質を悪者のように考え、それを除去することが毛穴やくすみ、肌の若返りの治療であるかのようにピーリング治療をおこなわれているケースがあるならば決して望ましいことではありません。
最初にメニューありきではなく適切な診断やカウンセリングを受け、イメージではなく十分に自分肌が感じる本当の効果を信じて治療を決めてください。
アジアン美容クリニック 院長。帝京大学美容センタ―講師 鄭 憲