美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

韓国 再生医療の再生

2009-06-24 15:51:57 | Weblog

韓国 再生医療の再生

 

 以前コラムで韓国の再生医療は、ES細胞に関する論文捏造事件のトラウマからいまだに抜けられずにいるという内容を書きました。米国をはじめ先進国では、ES細胞(胚性幹細胞)、iPS細胞(新型の万能多機能細胞)に関して、次世代の先端医療技術と捉え、国を挙げて莫大な投資をしています。一方、韓国ではやはり、あの事件以来 政府のバックアップも消極的となり、地道な研究者がそれまで培ってきた技術の灯を絶やさないよう頑張っているのが現実のようです。しかし、先日 日本の新聞紙面に 米国ハーバード大の韓国人研究者が中心となって、このiPS細胞の新しい作成法に成功したというニュースがトップで取り上げられました。

  iPS細胞は、体細胞に、ある4種類の遺伝子を入れることで ES細胞のように受精卵を使用することなく 他の様々な細胞に分化できる万能細胞として日米の科学者により作り出されたものですが、他の遺伝子を使用することで、細胞の癌化の可能性を、否定できませんでした。今回は、直接遺伝子を入れるのでなく、抽出したタンパク質を入れることでiPS細胞を作成したことでより安全性を高め、再生医療の実現に大きな一歩になることと期待されます。

  韓国の再生医学界には、久しぶりの明るいニュースです。にもかかわらず、韓国内のニュースとして、あまり取り上げられていないように感じたのは、私の情報不足でしょうか?国内に 捏造事件の後遺症で、慎重になりすぎているのか、元大統領の悲しい出来事から癒される時間が必要なのか、あれこれ思い巡らせてしまいます。もう一つ、この論文を見てみると、大部分韓国人の研究者ではあるものの、米国の大学研究室所属であり、特許などの所有権は韓国内とはいかない点、海外への頭脳流出の現実も心配になってしまいます。

  素直に 優秀な韓国人の成果と、喜べばいいのに、「お前は考えすぎだ。」と読者の声が聞こえそうですね。

  アジアン美容クリニック

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