顔は人間の内面を映す鏡2
人間にとって顔とは何か、美しい顔の基準は、客観的に定義できるものか?そもそも人が感じる美しさとは何かということが、私の美容外科医として基本的テーマの一つです。
古今東西、美男美女に関する物語、文学、伝説は、どこの国にも数多く残されていますし、クレオパトラ、楊貴妃をはじめ、その美しさ故、歴史を左右する影響力を持った人物として言い伝えられています。しかし、意外と人の容貌に関する科学的な研究は、近年になるまでほとんど行われませんでした。このテーマに対しては社会的なタブーがあったからです。「人を外見で判断してはいけない。」「人は容貌で扱いに差をつけてはいけないし、差はつかない。」私も子供の頃からこの様に教えられてきましたし、勿論ある意味当然のことだと感じます。自分の努力ではどうしようもないものに対しては、それを理由に差別すべきではないし、外見の美しさも同様変えられないと考えたからです。しかし、現在はどうでしょうか?
美容医学の発達、化粧技術の向上、ファッション情報の収集など少なくとも外見のかなりの部分は、後天的に変える事ができます。それと共にむしろ、タブー視されていた外見上の美しさ、魅力の影響を研究することで、コンプレックスを努力によってプラスに変える意味が生まれてきました。
日韓の意識調査で「自分の顔に満足している。」と答えた人は、日本人は30%程度のみ満足していると答えたのに対し、韓国人では半数以上で満足しているとの結果が報告されています。美容整形大国などとあまり名誉でない評価を受けている韓国 ですが、むしろ自分に前向きであり、ある意味、向上心とも言えるかもしれません。
「八方美人」というと日本では誰にもいい顔するお調子ものといった意味ですが、韓国では何でもできる才能豊かな人ということで使われます。同じ美人でも意識の違いが現れている例かもしれません。
『東洋経済日報 2008.5.16掲載』