3月14日付琉球新報朝刊に〈名護市 再編交付金で19事業 09年度、9億7030万円計上〉という見出しの記事が載っている。
〈名護市(島袋吉和市長)は、在日米軍再編への協力度合いに応じて交付される米軍再編交付金で二〇〇九年度に取り組む主要事業に十九件、事業費九億七千三十万円を計上した。
北部地区での救急ヘリ運行再開に向けた運営補助金のほか、基地関連では米軍キャンプ・シュワブからの航空機騒音や廃弾処理音を測定する騒音測定器設置事業に約五千万円。
地域振興では、豊原地域活性化事業として国際情報・通信金融特区構想推進の施設整備事業に約三億八千万円。教育関連では、久辺小学校体育館整備事業に約二千八百万円、二見以北四小学校統合関連で跡地利用やスクールバス運行など合わせて約一千九百万円。
同交付金の活用については、同市辺野古への普天間代替施設建設の進捗に応じて交付されることから、基地建設に反対する市民や市議からは活用に批判の声もある〉
19の事業の中には、道路や河川、公園などの整備事業も含まれている。基地関連の補助金が一般財源化されて適用事業が拡大し、やがてはそれなくして自治体の財政が立ち行かなくなってしまう。結果として、基地に反対することもできなくなってしまう。この問題は沖縄ではずっと以前から言われてきたことだ。それは「アメと鞭の構図」というような生やさしいものではなく、「麻薬と鞭の構図」と呼ぶ方がふさわしい。
今回の名護市の米軍再編交付金による19事業の予算化にしても、産業振興や社会資本整備だけでなく、医療や教育にまで米軍再編交付金があてられることで、麻薬依存がより広がっていくことを意味する。米軍再編交付金がないとドクターヘリが飛ばせない。スクルーバスも運行できない。そういう仕組みが作られたらどうなるか。米軍再編交付金は〈在日米軍再編への協力度合いに応じて交付される〉のだから、辺野古への新基地建設に反対することは、それらの事業をストップさせるという構図が作り出される。名護市当局は日本政府の意を汲んで積極的にそういう構図を作り出し、反対運動つぶしを目論んでいるのだ。
ゲームに勝とうと思えば、自分に有利なようにルールを作りかえることだ。再編交付金によって、それ以前とはゲームのルールが変わった。岸本前市長が政府とやり合っていたのは過去の話であり、新しいルールの下で現在の島袋市長はとうに政府に屈服している。
島袋市長は辺野古新基地の建設位置を沖合に移動するよう政府に求めている。その要求を政府が無視して現行の計画を押し通すとき、島袋市長はそれに抵抗できるか。できるはずがないのだ。それは今回の名護市の予算編成のあり方を見れば分かる。再編交付金という麻薬にどっぷりと浸かり、医療や教育の分野までそれなくしてやっていけなくなるような予算編成を、名護市当局自体がやっているのだ。
島袋市長の沖合移動要求は、当初は埋め立て利権がらみで、地元企業の取り分を多くしようという思惑があっただろう。しかし、今では市民の目を欺くためのポーズにすぎない。あたかも政府と対立しているかのように見せることで、自分への批判の矛先をかわそうとしているだけのことだ。米軍再編に協力して辺野古新基地建設を次の段階に進め、さらに再編交付金を手に入れることしか頭にはないだろう。
島袋市長が早期着工に向けて政府と協力体制を作ろうとしているのは、久辺三区と名護市、沖縄県、国(沖縄防衛局)で構成される四者協議会の設置に向けての動きからも分かる。ティダの会と新基地建設に反対する辺野古有志の会が、2月18日に名護市に申し入れを行った。そのときに対応した末松文信副市長は、四者協議会は名護市の方から政府にはたらきかけて立ち上げようとしており、地域振興策について久辺三区の要望をまとめ、事業主体や予算等の調整を行いたい旨、語っている(2月24日の本ブログ参照)。
建設位置の沖合移動をめぐって政府と対立していては、四者協議会の立ち上げで政府の協力は得られない。この時期になって四者協議会を作ろうとする名護市当局の動きからうかがえるのは、沖合移動を実現する展望も力もないことを自覚し、「妥協」(実際には屈服)した上で取れるものを取っておこうという打算である。このままでは政府に一方的に押し切られるという焦りから、「地元」の要望という形で何とか条件交渉に持ち込もうとしているのではないか。
来年の1月には名護市長選挙がある。島袋市長は二期目に意欲を見せているので、表向きは沖合移動要求の姿勢を見せ続けるはずだ。日本政府もそこのところの事情は分かっている。これからも政府と名護市の対立が形だけは演じられるだろう。しかし、早期着工に向けた政府・沖縄防衛局の動きに支障が出るようなことを、島袋市長がすることはないはずだ。政府の強硬姿勢に押し切られたかのように体裁を繕いつつ、島袋市長は環境アセスメントほか政府・防衛局の新基地建設の動きに協力し、「振興策」=金を少しでも引き出そうと動くのだろう。
マスコミは相変わらず辺野古新基地の建設位置の問題を大きく取り上げ、政府と県の対立という絵を描くのに力を注いでいる。しかし、再編交付金を名護市がどのように予算化しているかを見るとき、その絵にどれだけのリアリティがあるだろうか。そのうち「地元」久辺三区から早期着工による地域振興推進の要望が出された、という演出がなされ、それを口実に島袋市長も仲井真知事も沖合移動をなし崩し的に後景化させ、政府の強硬姿勢に押し切られるという形で護岸工事へと進んでいくのではないか。そう懸念される。
余り先読みしても仕方がないし、そのように事態を進行させてはならないことは言うまでもない。辺野古新基地の建設を阻止するためにも、名護市当局や県当局の動向の分析を深めていきたいが、環境アセスメントの動向と同時に、名護市の再編交付金の予算化の問題にも、もっと注目しなければ、と思っている。
〈名護市(島袋吉和市長)は、在日米軍再編への協力度合いに応じて交付される米軍再編交付金で二〇〇九年度に取り組む主要事業に十九件、事業費九億七千三十万円を計上した。
北部地区での救急ヘリ運行再開に向けた運営補助金のほか、基地関連では米軍キャンプ・シュワブからの航空機騒音や廃弾処理音を測定する騒音測定器設置事業に約五千万円。
地域振興では、豊原地域活性化事業として国際情報・通信金融特区構想推進の施設整備事業に約三億八千万円。教育関連では、久辺小学校体育館整備事業に約二千八百万円、二見以北四小学校統合関連で跡地利用やスクールバス運行など合わせて約一千九百万円。
同交付金の活用については、同市辺野古への普天間代替施設建設の進捗に応じて交付されることから、基地建設に反対する市民や市議からは活用に批判の声もある〉
19の事業の中には、道路や河川、公園などの整備事業も含まれている。基地関連の補助金が一般財源化されて適用事業が拡大し、やがてはそれなくして自治体の財政が立ち行かなくなってしまう。結果として、基地に反対することもできなくなってしまう。この問題は沖縄ではずっと以前から言われてきたことだ。それは「アメと鞭の構図」というような生やさしいものではなく、「麻薬と鞭の構図」と呼ぶ方がふさわしい。
今回の名護市の米軍再編交付金による19事業の予算化にしても、産業振興や社会資本整備だけでなく、医療や教育にまで米軍再編交付金があてられることで、麻薬依存がより広がっていくことを意味する。米軍再編交付金がないとドクターヘリが飛ばせない。スクルーバスも運行できない。そういう仕組みが作られたらどうなるか。米軍再編交付金は〈在日米軍再編への協力度合いに応じて交付される〉のだから、辺野古への新基地建設に反対することは、それらの事業をストップさせるという構図が作り出される。名護市当局は日本政府の意を汲んで積極的にそういう構図を作り出し、反対運動つぶしを目論んでいるのだ。
ゲームに勝とうと思えば、自分に有利なようにルールを作りかえることだ。再編交付金によって、それ以前とはゲームのルールが変わった。岸本前市長が政府とやり合っていたのは過去の話であり、新しいルールの下で現在の島袋市長はとうに政府に屈服している。
島袋市長は辺野古新基地の建設位置を沖合に移動するよう政府に求めている。その要求を政府が無視して現行の計画を押し通すとき、島袋市長はそれに抵抗できるか。できるはずがないのだ。それは今回の名護市の予算編成のあり方を見れば分かる。再編交付金という麻薬にどっぷりと浸かり、医療や教育の分野までそれなくしてやっていけなくなるような予算編成を、名護市当局自体がやっているのだ。
島袋市長の沖合移動要求は、当初は埋め立て利権がらみで、地元企業の取り分を多くしようという思惑があっただろう。しかし、今では市民の目を欺くためのポーズにすぎない。あたかも政府と対立しているかのように見せることで、自分への批判の矛先をかわそうとしているだけのことだ。米軍再編に協力して辺野古新基地建設を次の段階に進め、さらに再編交付金を手に入れることしか頭にはないだろう。
島袋市長が早期着工に向けて政府と協力体制を作ろうとしているのは、久辺三区と名護市、沖縄県、国(沖縄防衛局)で構成される四者協議会の設置に向けての動きからも分かる。ティダの会と新基地建設に反対する辺野古有志の会が、2月18日に名護市に申し入れを行った。そのときに対応した末松文信副市長は、四者協議会は名護市の方から政府にはたらきかけて立ち上げようとしており、地域振興策について久辺三区の要望をまとめ、事業主体や予算等の調整を行いたい旨、語っている(2月24日の本ブログ参照)。
建設位置の沖合移動をめぐって政府と対立していては、四者協議会の立ち上げで政府の協力は得られない。この時期になって四者協議会を作ろうとする名護市当局の動きからうかがえるのは、沖合移動を実現する展望も力もないことを自覚し、「妥協」(実際には屈服)した上で取れるものを取っておこうという打算である。このままでは政府に一方的に押し切られるという焦りから、「地元」の要望という形で何とか条件交渉に持ち込もうとしているのではないか。
来年の1月には名護市長選挙がある。島袋市長は二期目に意欲を見せているので、表向きは沖合移動要求の姿勢を見せ続けるはずだ。日本政府もそこのところの事情は分かっている。これからも政府と名護市の対立が形だけは演じられるだろう。しかし、早期着工に向けた政府・沖縄防衛局の動きに支障が出るようなことを、島袋市長がすることはないはずだ。政府の強硬姿勢に押し切られたかのように体裁を繕いつつ、島袋市長は環境アセスメントほか政府・防衛局の新基地建設の動きに協力し、「振興策」=金を少しでも引き出そうと動くのだろう。
マスコミは相変わらず辺野古新基地の建設位置の問題を大きく取り上げ、政府と県の対立という絵を描くのに力を注いでいる。しかし、再編交付金を名護市がどのように予算化しているかを見るとき、その絵にどれだけのリアリティがあるだろうか。そのうち「地元」久辺三区から早期着工による地域振興推進の要望が出された、という演出がなされ、それを口実に島袋市長も仲井真知事も沖合移動をなし崩し的に後景化させ、政府の強硬姿勢に押し切られるという形で護岸工事へと進んでいくのではないか。そう懸念される。
余り先読みしても仕方がないし、そのように事態を進行させてはならないことは言うまでもない。辺野古新基地の建設を阻止するためにも、名護市当局や県当局の動向の分析を深めていきたいが、環境アセスメントの動向と同時に、名護市の再編交付金の予算化の問題にも、もっと注目しなければ、と思っている。
確かに画期的だと思いますが、アメリカの怖さと恐ろしさはここに在るのだと再確認しました。また、法案は、表面的にしか過ぎない。
イエスかノーか。
するのか、しないのか。
戦争にしても同じです。
だから、恐ろしい。
米本国では、様々な危険な訓練が行われず、ここ沖縄を拠点に展開されています。
先日、ナクバ(デイズジャパン編集長・広河氏監督作品)を鑑賞してきました。
難しかった。無知な私は情けないことに、深く考察出来ませんでしたが、あのような世界の現実をもっとメディアをはじめ、ジャーナルリズム界が啓蒙し役割を果たしてもらいたいなと思いました。
言い訳ですが、「こんな映画見たよ」としか周囲に言えなず、今はこれが精一杯の私です・・・。
日米安保は「ナクバ」です。
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世界のコーヒー農家は、コーヒー豆作るよりも大麻が金(高価な取引で現金収入)になる現実。。。
確かに、「麻薬と鞭」
すでに、始まってますね。