米軍が沖縄で枯れ葉剤(エージェントオレンジ)を使用していたことを追及する琉球朝日放送の報道です。
http://www.youtube.com/watch?v=W4uIa9r_Ifk
轡田隆史『枯れ葉剤作戦の傷跡』(朝日文庫)には次のように記されています。
〈除草剤による「枯れ葉作戦」が開始されたのは一九六一年である。この年の五月にはジョンソン副大統領が南ベトナムを訪問して、経済軍事援助増強の共同声明を出したのをはじめ、軍事調査団が続々と現地に入って、解放勢力に対する機動掃討が本格化していた。
除草剤は、「オレンジ」「ホワイト」「ブルー」と、成分の違うものごとに色彩の名前でコードされていた。
最も多く使用されたのが「オレンジ剤」で、2・4・5-トリクロロフェノキシ酢酸(2・4・5-Tと略称)と2・4ジクロロフェノキシ酢酸(2・4-D)の混合物である。
…(中略)…
オレンジ・ホワイト剤は、植物の正常な代謝作用を阻害して落葉させ、ブルー剤は、樹木に脱水作用を生じさせて落葉させるのであるという〉(46~47ページ)
〈…トン・タト・ツン博士らは、染色体異常をもたらし、異常出産をもたらしている元凶として、散布された三種の除草剤のうち「オレンジ剤」の「2・4・5-T(2・4・5-トリクロロフェノキシ酢酸)に含まれるダイオキシン(2・3・7・8テトラクロロジベンゾ-P-ダイオキシン)を挙げる。
ダイオキシンは2・4・5-Tの製造過程で生じる不純物である。
実は、除草剤2・4・5-Tに「催奇性」のあることは早くからわかっていたのである〉(96ページ)
〈ことに劇薬ダイオキシンは水に溶けにくいから、いつまでも地表に残る。土壌の中に入り込んだあと、多くの毒物は、化学変化や微生物の影響によって分解してゆく。地表にある毒物も、紫外線、気化などの作用によって分解していく。ところが、ダイオキシンだけは、そのような分解作用を受けにくい、「安定性」の極めて高い毒物なのである。自然の環境の下で、ダイオキシンの分解にどれほどの時間を要するのか、まだわからないのである〉(142ページ)
枯れ葉剤に含まれるダイオキシンは、長期にわたって環境に影響を及ぼします。ミッチェル氏が指摘するように、沖縄における枯れ葉剤使用問題は、過去の問題ではなく現在の問題です。日本政府・沖縄防衛局は、米軍への照会にとどまらず、元米兵への聞き取り調査を進め、使用が疑われる米軍基地とその周辺地域の環境調査に着手すべきです。