正月の行事の一つ、消防団出初式 私もかつては消防団に入団していて、今朝のような雪の日の出初式は長靴の底からじーんと寒さが伝わって来て、出初式の来賓の挨拶が早送りのボタンで終わらないかなあなどと毎年思っていたものだった。 そんな地区の出初式の風物詩がこれ『御幣』(ごへい) 熨斗紙の字の通り火の用心を願って作られるものだ。 毎年、師走になると幹部が近所の竹林から取ってきて切っておき、そして年末の夜警のときに詰め所で団員が数を分担してこの御幣作りをすることになっている。そして年が明けての出初式の日の朝、地元の神社に作った御幣を持って行き、団員と地域の無事を祈願してもらう。 神社でお払いを受けた御幣は、団員達によって地区で新築された家、商売をしている人などに配られるのだ。 「こんにちはー」 「ご苦労様です」 「御幣をお持ちしました、今年もよろしくお願いします」 「ありがとうございます」 「気をつけー、施主に対しー、頭ーなかー」 玄関先で私の親の世代から続く御幣と気持ちの良い敬礼を受け、こちらからも気持ち程度のお酒を渡す。 まだ青々しい竹の香りを出す御幣を今年も火災がないようにと願いながら床の間にそっと飾ったのだった。 |