紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

恐るべし福音館

2006-01-08 23:59:14 | 読書
 朝日新聞社刊『論座』2月号を仕事の休憩時間にぱらぱらとみていた。「本棚拝見」というカラーページがあり、漫画家しりあがり寿さんの本棚が2段に渡って拝見する事が出来た。図鑑やビジュアル関係の本に混じって、見覚えのある本が。福音館書店の「いまは昔むかしは今」のシリーズのうち、1巻「瓜と龍蛇」&2巻「天の橋 地の橋」の2冊。

 ここんところ、この本の事をずーっと考えていた私は、この偶然の出会いによって、今日この本の事を書いちゃおうと決めた。しりあがり寿さんは2冊だったけど、このシリーズは全5巻プラス索引付き。段ボール箱に6冊入れると、よちよち歩きになるほど重い。形態は百科事典1冊分よりやや薄く、箱入りで、1冊を片手で持つには重すぎる本。価格は8000円で本当に百科事典並み。オールカラーで写真も図録も絵画もぎっしり。

 編集委員は網野善彦、大西廣、佐衷コ広。内容は「いまは昔・・・」とあるように、今昔物語などの日本中世の説話世界・庶民文撃フ世界を万華鏡のように鮮やかに展開した豪勢な内容でため息もの。平安時代の町中の様子や陰陽師のことも詳細に書いてあるので、平安時代を舞台にした小説を読むときには、とてもリアルにイメージできた。

 たとえば手ぬぐいのブランド「かまわぬ」のロゴ!?ー鎌の絵にワッカに「ぬ」の文字を書くような遊びーの元になったような、絵の中に文字が隠されている「葦手絵(あしでえ)」(平安時代に流行)のこととか興味深い知られざる文化、和心満載で、1冊読むと古代~中世~近世に渡っての日本の水脈に浸れまくれる。

 ところで、しりあがり寿さんの本棚には2巻しかありませんでした。それってあまりにも分かる気がします。実は私も全巻購入したにも関わらず、2巻目の途中で頓挫しました。持ち歩くには重すぎる、ベッドでうつ伏せで読むと肩が凝る、しかも読み飛ばせる内容ではないので、1冊読破するのに何ヶ月もかかりましたから。

 それにしても、こんな売れそうもない豪華本を作ってしまう福音館書店って、すごい。もちろん、絵本も雑誌もダイレクトメールのペーパーに至るまで、ベストを尽くした仕事の数々。恐るべし、福音館書店。


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