紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

なほことたかこ

2007-09-13 00:16:13 | 読書
 月刊誌『ダヴィンチ』10月号にて上橋菜穂子大特集が組まれていたので、とりあえず目を通す。

 実は上橋菜穂子さんは、1冊も読んだ事がない。にもかかわらず「これはすごいぞ。間違いなく!」と何の根拠も無く確信している。読んだ事がないのに『ユリイカ』07年6月号で上橋菜穂子が特集されていたら、即座にお買い上げした。何の迷いも無く。強力な磁力で私のアンテナを反応させる人なのだ。でいて、全て未読。

 なんというか、浮「ような物語の力を予感させるのだ。読んでしまえばどっぷりとはまってしまいそうで浮「。現在自分がコントロールできないくらいどっぷりはまりそうなモノには、極力近づかないようにしているのに、ここでページを開いてしまったら、そんな努力が水の泡になってしまう。
 これは「見るなの座敷」状態なので、ふと魔が差したら「やっちゃいました(涙)」状態に陥る事確実である。

 ところがそんな魔力的磁場を持つ上橋菜穂子さんが、私が尊敬して止まない、しかもついに先頃ブレイクした佐藤多佳子さん(「一瞬の風になれ」=本屋大賞)と対談したのだ。これは読まねばなるまい。

 彼女らはお互いに大ファンだそうである。年齢もデビューも児童文学畑出身というところも一緒。対談で読んだ限りでは、(モチーフやテイストは違うみたいだけど)小説で押さえるツボもたぶん一緒かもしれない。ちなみに彼女らの年齢は私にもかなり近い。(でも彼女らの方が年下)

 この対談だけで今月の『ダヴィンチ』は買った方がいいかもしれない。これほど意気投合された濃い対談が読めるなんて、僥倖以外の何ものでもない。

 最初の上橋さんの言葉から、「いきなりこれかよ~」と胸にくる。彼女は佐藤さんの珠玉の名作『イグアナくんのおじゃまな毎日』の解説を最近書かれたそうなのだが(ということは、新しい出版社で新しく発売される?)、クライマックスのところを読まれた時、「これは握手してもらわなきゃなあ」と思われたそうだ。この「握手」はもちろん「私も『これ』を書きたくて物語かいてるのよ~」という激しい共感の握手であろう。ちなみに私は『イグアナくん』のこの場面で号泣した。「うるうる」ではなく「号泣」。こんなことはめったにない。

 しかも誰かが死んだり、いなくなったりする悲しい場面ではない。佐藤多佳子さんは「奇跡のようなこころのつながり」を、天才的なマジックのように表出させることができる人だ。

 あと「どんなに困難でもうそは書かない」とかたくななまでに決意されているところも共通点だった。そういえば森絵都さんも「200%の力で書く」と言っておられたっけ。

 ところが物語というものは、自分の思惑通りに話がすすまないらしいのだ。上橋さん曰く「だいたい物語って書いている時に自分が思いもかけなかったところにいっちゃう」ことがあるらしい。上橋さん「誰が書いたんだろうって思う」とちょっとおちゃらけるけど、不思議な本音だろう。ライティング・ハイの話も面白かったな。

 それにしても。上橋さんの『イグアナくん』解説、早く読んでみたいものである。

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