実写はマンガより奇なり

　おととい、１２月５日に「ちびまる子ちゃん」の実写ドラマを見た。第２弾のときの、Kちゃんと笑い転げた「おじいちゃん友蔵の年金にたかって高級寿司屋に行き、それをネタに家族の作文を書く、まる子」の話をふたたび見られて、大変幸せだった。

　今回は２回目ということで、前回より心に余裕があるのか、それぞれの演技やキャスティングにまで気が回る。だからアニメではぜーったい笑わない場面で、大笑いできる。

　今回初めて登場するキャラには、名前とアニメが画面に出てくる、というサービス付きなので、比較できるのが愉しい。
　例えば、友蔵のお友達、中野さんである。中野さんは温水洋一さんの役どころなのだが、もうはまりすぎるくらいはまっていた。ラクダの下着姿で鰻を食べるミスマッチもさることながら、あの哀愁に満ちた表情が、せっかく神様がわざわざ手渡しでくださる「幸運」をみすみすャ鴻鰍ﾆ落としてしまうような、全身から発散される運のなさが、可笑しい。

　他にも、花輪家の執事「ヒデじい」＝下條アトム、まる子の担任の戸川先生＝笠井信輔（フジテレビアナウンサー）は、あまりにもそのまんまなので、単に画面に登場するだけで「そっくり～～！」とやたら盛り上がる。

　もちろん「ちびまる子ちゃん」では、最重要ともいうべきおじいちゃん、友蔵のモト冬樹は輝くような過剰演技だった。直球の褒め言葉である。

　「ちびまる子ちゃん」は実写になると、「自然な過剰演技」が要求されるように思う。「自然」であること。「過剰」であること。この相反するふたつの演技力を要求されるとは、たいへんなテレビドラマだ。

　いわずもがなだが主演の「まる子」役の森迫永依ちゃんは、素晴らしい！　こんな逸材をよくぞ見い出したものである。子役では「はまじ」を演じた子が、いぶし銀のような渋い役者魂を炸裂させていた、ように思う。おかげですっかり「はまじ」びいきになってしまった。

　事実は小説より奇なり、という言葉があるが、いやいや、実写は原作マンガよりパワフルになることもあるのだ。寄ってたかってドラマを造り上げている人々の熱意、工夫、チームワークと努力のたまものであろう。なんとありがたいことである。