これは火星に取り残された男の物語である。
題名を「火星の人(The Martian)」という。
主人公は、マーク・ワトニーという。
この本は最後までなかなかよく書かれている。
***(本から)
ぼくは笑える出来事の連続であやうく死にそうになり、もっと笑える出来事の連続で生き残ることができた。
ぼくは火星に取り残されてしまった。
宇宙船〈ヘルメス〉とも地球とも通信する手段はない。
みんな、ぼくが死んだものだと思っている。
そしてぼくは31日間だけ持つように設計されたハブのなかにいる。
「マーク、きみは、ずるくて、賢くて、とんでもないやつだな!」
***
こうして彼のサバイバル作戦が開始される。
何と、火星滞在6日目から549日目まで、543日ほど火星に一人で生存し、ついに地球に生還する。
襲い掛かる困難に決して負けないだけでなく、あらゆる知識を駆使して過酷な環境に生き残るのがすごい。
だが、もっと感心したのは、翻訳者の腕前だ。
小野田和子さんという。
こんな素敵な翻訳をする人を、最近は見たことがない。
ネットで調べてみたら、1951年生まれだという。
おっと、私と同じ年齢だ。
世の中には、すごい人もいるものだ。
原作者も翻訳者もすごい。
久しぶりに楽しんだSFだ。
お勧めする。