夏の日、琵琶湖の湖上学習会を開いた。
子供たちはみんな元気だ。
年々、参加者が増えて楽しい催しとなってきた。
この取り組みをできる限り続けたいと思っている。
この子供たちは、明日の日本を支える梵天の民だから。
1860年、万延元年の訪米使節が乗った咸臨丸がアメリカに着いた。
サンフランシスコから、パナマ鉄道で東海岸へ着いた一行が、ニューヨークでパレードに参加した。
そのときの様子を見ていた一人の詩人がいた。
ウォルト・ホイットマン(1819年~1892年)だ。
彼は、"The Errand-Bearers (使命を帯びた者たち)"という詩を、同年6月27日付の 「ニューヨーク・タイムズ」新聞に投稿した。
その詩はのちに構成を変えられ、"A Broadway Pageant"と改題された。
「西の洋をわたって、ニフォン国より此方へとやってきた、礼儀ただしい、頬の浅黒い、二刀差の使節たち(W・ホイットマン詩集『草の葉』より)」
で始まる詩の中に、
「The race of Brahma comes」
とある。
小説家、香川宣子は、これを梵天(ぼんてん)の民と訳した。
君臣が互いに親しみ合うことを意味する咸臨丸には、勝海舟、木村摂津守、福澤諭吉、通訳の中浜万次郎(ジョン万次郎)などが乗船していた。
彼らの堂々とした行進が、ホイットマンの心に響いたのだろう。
「この何世紀ものあいだは、そんなふうに着実に歩んでこられたのか?
知らざれるままずっと?
それは君のためにか、理由のゆえにか?
かれらは正義にのっとった人らである。
かれらは業績をほこる。
かれらはいまより他方に向かって君たちの方へ旅立つだろう」
梵天の民の子孫である今の子供たちが、傷つくことなく、平和に、そして信念と誇りをもって育ってほしいと思う。