匂い

急な階段の中ほどに、小窓がある。
その小窓を開けると、さしかけの屋根があり、朝日が少し当たるだけの場所、重たくないものを上げるのにはちょうどだと、イワチドリやウチョウラン等を置いてあるが、日の出が早くなると少しきつく日が当たる。寒冷紗を細工したいが、何となくそのままで、少しでも日陰になればと、ウツギを植えてある鉢を置いて日陰を作ってみた。
そうたいして日陰にもならないが気は心。
その鉢の中にユリもどこから飛び込んできたのか生えていた。タカサゴユリだろうか、でも、この周りでは余り見ないし…特別大事にもしなくそのままにしておいた。台風の時も、イワチドリやウチョウランは、階段に取り込んだが、この鉢は飛ばされないだろうと、そのまま隅に置いてあった。あれだけ激しく吹いた風も、ここには吹かなかったかのようにそのまま有り、蕾も少し膨らんでいた。

今朝、このユリが咲いているのに気付いた。タカサゴユリは花被片に赤紫の色がついているけど、赤紫のないのは、タカサゴユリと、テッポウユリとの交雑種で『シンテッポウユリ』というと聞いたことが有るが、これはシンテッポウユリかなと思いながら撮影。
14日に撮影したタカサゴユリは、花被片が赤紫になっていた。タカサゴユリもだけど、これも匂いはないと思いながら、園芸種のユリでも匂いの有るのと、ないのに分かれるけど、最初の親で決まるのかなと思いながら、そこそこ撮影し、しばらく眺めていた。咲いたばかりの花は美しい。


今夜廊下に出ると、なんか甘い香りがする。花は飾ってないし、芳香剤は置いてないし、ユリしかないが、今朝の撮影の時は、あれだけ近づいても匂いはしなかったのにと思いながら、開けた小窓を見上げるとそこから匂っているような気がして、近づいてみるとやはりユリの匂いだった。タキユリ（カノコユリ）とはまた違った匂いだと思った。フウランなどのように夜になると、匂いを放つのだろうか。


何時から生えていたか、記憶にはないが、こんなところに生えて抜こうかと思ったこともあったし、土も少ない盆栽用の平鉢でどうせ育ちはしないだろうと思っていたのが、綺麗な花咲かせてよい匂いまで、想定外のうれしさ。
痛くて堪らん時はもう花どころではないと思っていた私なのに、健気に咲いてくれた花を見ると、やっぱりこの植物達を手放すことは出来んなと思う。







部屋の中では、小さなシダ植物を、テーブルの上に並べて楽しんでいる。

これはチャセンシダ?イヌチャセンシダ？