竹心の魚族に乾杯

Have you ever seen mythos?
登場する団体名、河川名は実在のものとは一切関係ございません。

竿の反発力とバラシ

2008年01月21日 19時54分54秒 | やまめ研究所
最後の職漁師、菱田与一さんは竿の重要性についてこんなふうに言っています。

(略)…うらっぽだけ曲るサオはダメやな。合せて真直ぐに戻った時、アテ切れするんや。おじぎして戻った時にコトコトするんや。この時は、アマゴはイトを体に巻いとる。それで抜くからアテ切れになるんや。胴中からスーッと半月に曲るような調子でないとダメなんや。…(「郡上釣り・アマゴ釣りの原点」より)


竿の調子が悪いと当て切れするということのようなのですが、今までこんなこと気にもしなかったし、書いてあることの意味もわからなかったのですが、わかさぎのバラシとひょっとしたら同じ現象なのではないかと気がつきました。スレ掛かりもそう考えると説明がつきます。なるほどという感じですね。

下図は、わかさぎ釣りでアワセを行った場合の図(想像図)です。
図1-a図1-b図1-c
図1-aは合わせた瞬間を示しています。
合わせた時魚がこちらを向いている場合、当然こちらに向かって惰性で進んできますからテンションが緩みます(図1-b)。
本来ならば、魚は、合わせを入れた時点で危険を感じて身をよじろうとするはずです。ところがわかさぎの場合はどういうわけか図1-bのように抵抗せずに着いてくることがあるようです。糸の伸びや抵抗がかなりありますし、なんか変だとは思いつつも、まだ状況が飲み込めていないんでしょうね(笑)。
ある程度の抵抗や重さのある魚なら絶対こうはならないと思います。細身の軽い魚ならではの現象というか…。

穂先は合わせたときにいったん大きく曲がり、急速に元に戻ろうとします。そして今度はその勢いで大きく反り返ります。
そしてこの状態ですと穂先は図1-cのように再び前方に曲がりますから、テンションがさらに緩むことになります。

この穂先のアオリを抑えるには、手前に引くように合わせたり、滑車を使ったり、電動リールでは、合わせると同時に巻き上げ開始したりします。与一マは、竿と道糸の角度が鈍角になるように構えると言っています(図2/「郡上職漁師のアマゴ釣り」より)。やはり共通のものがありそうです。
図2
図1-a2図1-b2
図1-a'はアタリが出た時点ですでに魚がむこうを向いていた場合の穂先の状態です。小さなわかさぎでも、時に「ズシン」という大きな手応えで釣れることがありますが、たまたまこういう状態だったんでしょう。こういうときはがっちりフッキングします。
やまめ釣りでは、4.5mといった短い竿を使っていてこの状態で掛けると、竿が伸されるか針が伸びるかします(竿をうんと長くすれば話は別)。テンカラでも食った瞬間魚が反転してますから、この状態で釣ってることになります。こういうときは「ガツン」と手に来ます。
図1-b'は、アワセたときに魚がテンションを感じて走り出そうとする状況です。うまくこういう理想形に持ち込めれば必勝なのですが、現実はなかなかうまくいきません。


鮎竿の穂先でもソリッドのものが出てますし、エリア用のトラウトロッドもオールソリッドのものが人気です。わかさぎやトラウトのような細身の軽い魚を釣る場合、ソリッドとチューブラーでは明らかにソリッドの方が向くと思います。でもソリッドにしたからといって反発力を完全に封じ込めることはできないので、そこらへんが難しいところでもあり、また面白いところでもあります。

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