『エイガニッキ』 SASHI-ハラダ 2013/12/24
ⅩⅡ 「なつかしの顔」を見る、聴く、
田舎、母と義理の姉、少年、空に舞う模型飛行機、子供たち、木に掛かってしまって、取ろうとして落下する少年、姉の戦き、走る走る、怪我して家に運ばれて、成瀬は既に此処にも、事故のテーマが、後には交通事故が頻繁にドラマに孕まれるのだが、寝込む少年、近所のじいさんが訪ねて、母に語る、あなたのところの出征した息子がニュース映画に映っていると、最前線の姿がと、これを聞いて堪らない母、夢見る母、母と義理の姉と少年の描く夢、どんな姿、それぞれの思い、英雄、元気な夫、かくて、翌日に母は町まで出かける、荷車に乗せて貰って、通りの雑貨屋で見いだす飛行機、高くて買え無い母、映画館、夢に見た世界、光に照らされる母、待ちこがれた息子の姿がと、始まるニュース、最前線のシーン、闘う兵隊さん、涙の母、涙を拭う、その間に、終わってしまう、隣のひとに聞きただす、これで終わりかと、そうでしょうと淡々、ニュースとはこんな物、曖昧なままに戻る母、少年は母に兄のことを問う、だが、ああ映っていたよと云うばかりで、如何とも判明しない、絶対とも言い切れない、最前線の実際は、英雄譚とは大違い、思い通りには、母の思い通りには映らない、かくて、またあの最前線のシーン、誰かが見ているのだろうか、が、これは戦闘訓練のシーン、バスから姉が見ているのだ、訓練の兵隊がバスの横を過ぎるのだ、町にバスで向かっている姉が見いだすのだ、翌日に映画に向かう姉が、これは姉の見た幻想ではないのか、現実か、判らない、こんな繋ぎの戦き、映画とはこんな自由に工作出来るシステムなのだから、平気で誑かすのだ、監督の問いが此処にも、最前線とは、こんな物、ドラマの如くには見いだせない、誰が誰か、何をしているのか、鉄砲弾を逃れて頭を垂れて、這い蹲って、走り、隠れ、撃ち、カメラだって、何を、誰を捕らえているのか、大体、誰が、誰と闘っているのだ、判っているのは何、誰、日本人、中国人、姉もまた、雑貨屋で飛行機を見いだして、飛行機を買ってしまう、映画館の前で考え事、近所のじいさんと少年の友人は来ると知っている姉を待つ、だが、現れない、始まるニュース、少年が叫ぶ、主人公の兄さんだと、だが、果たして、真に見えたのだろうか、しかも、直ぐに終わってしまう、あれだけかと友人、あれだけさとじいさん、どこまでも、あっけない、政府の差し出す映像の、安易、滑稽、言葉の割に、何も判らない、見せられて、在るばかり、かくて、姉は戻る、土産の飛行機に笑みの少年、どうだったと少年、ええ映っていたわよと姉、翌日、少年の元に映画を見た友人が、君の姉さんは来ていなかったと、知る主人公、姉は飛行機のために、映画を見なかったのだと、姉の元に走る走る、こんな物要らないと、映画を見ずに、買ってくれた飛行機など要らないと、姉は語る、そんなことではないのと、多くの兵隊さんが、最前線で頑張っているのに、一人だけ兄さんが、映っていると見るのが、悪いような気がしたのだと、勝手に、己ばかり、己の英雄を見いだすことの傲慢、を、感じ取ったか、そこに校長、子供たちの為に、学校で上映会をするのだと、母と少年と姉、今度はゆっくり見られると、夕方に、歩き出す、借り出してくれたから、今度は、何度でも見られると、果たして、これも又、幻想に過ぎないのではないか、何度見ても、見えない、映画を見ることの危うさ、英雄を見ること、最前線を見ることの危うさ、大本営発表の危うさ、戦争報道の在処が問われてしまっている、徹底的に、あのラストの3人の背、夕日、この姿に私たちは何を見る、映画を前にして、期待と共に、圧倒的に過激な映画批判、報道批判、何度見ても、何も見えずに帰ってくるはずなのだ、いや、見せられて、聴かされて、帰ってくるとも、故に、あのラストの不吉、こんな映画を平気で作ってしまう、成瀬の不吉、正義、に、感動します、
ⅩⅡ 「なつかしの顔」を見る、聴く、
田舎、母と義理の姉、少年、空に舞う模型飛行機、子供たち、木に掛かってしまって、取ろうとして落下する少年、姉の戦き、走る走る、怪我して家に運ばれて、成瀬は既に此処にも、事故のテーマが、後には交通事故が頻繁にドラマに孕まれるのだが、寝込む少年、近所のじいさんが訪ねて、母に語る、あなたのところの出征した息子がニュース映画に映っていると、最前線の姿がと、これを聞いて堪らない母、夢見る母、母と義理の姉と少年の描く夢、どんな姿、それぞれの思い、英雄、元気な夫、かくて、翌日に母は町まで出かける、荷車に乗せて貰って、通りの雑貨屋で見いだす飛行機、高くて買え無い母、映画館、夢に見た世界、光に照らされる母、待ちこがれた息子の姿がと、始まるニュース、最前線のシーン、闘う兵隊さん、涙の母、涙を拭う、その間に、終わってしまう、隣のひとに聞きただす、これで終わりかと、そうでしょうと淡々、ニュースとはこんな物、曖昧なままに戻る母、少年は母に兄のことを問う、だが、ああ映っていたよと云うばかりで、如何とも判明しない、絶対とも言い切れない、最前線の実際は、英雄譚とは大違い、思い通りには、母の思い通りには映らない、かくて、またあの最前線のシーン、誰かが見ているのだろうか、が、これは戦闘訓練のシーン、バスから姉が見ているのだ、訓練の兵隊がバスの横を過ぎるのだ、町にバスで向かっている姉が見いだすのだ、翌日に映画に向かう姉が、これは姉の見た幻想ではないのか、現実か、判らない、こんな繋ぎの戦き、映画とはこんな自由に工作出来るシステムなのだから、平気で誑かすのだ、監督の問いが此処にも、最前線とは、こんな物、ドラマの如くには見いだせない、誰が誰か、何をしているのか、鉄砲弾を逃れて頭を垂れて、這い蹲って、走り、隠れ、撃ち、カメラだって、何を、誰を捕らえているのか、大体、誰が、誰と闘っているのだ、判っているのは何、誰、日本人、中国人、姉もまた、雑貨屋で飛行機を見いだして、飛行機を買ってしまう、映画館の前で考え事、近所のじいさんと少年の友人は来ると知っている姉を待つ、だが、現れない、始まるニュース、少年が叫ぶ、主人公の兄さんだと、だが、果たして、真に見えたのだろうか、しかも、直ぐに終わってしまう、あれだけかと友人、あれだけさとじいさん、どこまでも、あっけない、政府の差し出す映像の、安易、滑稽、言葉の割に、何も判らない、見せられて、在るばかり、かくて、姉は戻る、土産の飛行機に笑みの少年、どうだったと少年、ええ映っていたわよと姉、翌日、少年の元に映画を見た友人が、君の姉さんは来ていなかったと、知る主人公、姉は飛行機のために、映画を見なかったのだと、姉の元に走る走る、こんな物要らないと、映画を見ずに、買ってくれた飛行機など要らないと、姉は語る、そんなことではないのと、多くの兵隊さんが、最前線で頑張っているのに、一人だけ兄さんが、映っていると見るのが、悪いような気がしたのだと、勝手に、己ばかり、己の英雄を見いだすことの傲慢、を、感じ取ったか、そこに校長、子供たちの為に、学校で上映会をするのだと、母と少年と姉、今度はゆっくり見られると、夕方に、歩き出す、借り出してくれたから、今度は、何度でも見られると、果たして、これも又、幻想に過ぎないのではないか、何度見ても、見えない、映画を見ることの危うさ、英雄を見ること、最前線を見ることの危うさ、大本営発表の危うさ、戦争報道の在処が問われてしまっている、徹底的に、あのラストの3人の背、夕日、この姿に私たちは何を見る、映画を前にして、期待と共に、圧倒的に過激な映画批判、報道批判、何度見ても、何も見えずに帰ってくるはずなのだ、いや、見せられて、聴かされて、帰ってくるとも、故に、あのラストの不吉、こんな映画を平気で作ってしまう、成瀬の不吉、正義、に、感動します、