chuo1976

心のたねを言の葉として

世界の最初の一日   長田 弘

2015-06-11 06:01:24 | 文学

 世界の最初の一日   長田 弘

 




水があった。

大いなる水の上に、

空のひろがりがあった

空の下、水の上で、

日の光がわらっていた。

子供たちのような

わらい声が、漣のように、

きらめきながら、

水の上を渡っていく。

遠ざかってゆくわらい声を、

風が追いかけていった。

樹があった。

樹の下には蔭が、

蔭のなかには静けさがあった。

(世界がつくられた)

最初の一日の光景は、

きっとこんなふうだったのだ。

人ひとりいない風景は、

息をのむようにうつくしい。

どうして、わたしたちは

騒々しくしか生きられないか?

世界のうつくしさは、

たぶん悲哀でできている。

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札幌国際芸術祭

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