ともだち 政石蒙
駱駝は私のともだちだった。日に一度だけの食糧差入どき以外には殆ど人の訪れることのない隔離小屋の生活の中で、駱駝は珍客でもあった。
コノ線ヨリ許可ナク入ルベカラズ そんな立札を無視し、煉瓦連ねた線を踏み越して、駱駝は私の庭へやってきた。駱駝の横腹を押したり、首にぶらさがったり、鼻面を撫でたりする。私が触れることのできる唯一の生きものであった。駱駝の腹も首も鼻面も暖かだった。私は毎日駱駝の訪れを待った。駱駝の来ない日は一日中孤独だった。
ともだち 政石蒙
駱駝は私のともだちだった。日に一度だけの食糧差入どき以外には殆ど人の訪れることのない隔離小屋の生活の中で、駱駝は珍客でもあった。
コノ線ヨリ許可ナク入ルベカラズ そんな立札を無視し、煉瓦連ねた線を踏み越して、駱駝は私の庭へやってきた。駱駝の横腹を押したり、首にぶらさがったり、鼻面を撫でたりする。私が触れることのできる唯一の生きものであった。駱駝の腹も首も鼻面も暖かだった。私は毎日駱駝の訪れを待った。駱駝の来ない日は一日中孤独だった。