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過酷な生、悲痛な歴史…表現の先端切り開く記録映画 山形国際ドキュメンタリー映画祭 王兵「死霊魂」に大賞

2019-12-14 05:19:20 | 映画

過酷な生、悲痛な歴史…表現の先端切り開く記録映画 山形国際ドキュメンタリー映画祭 王兵「死霊魂」に大賞 2019/10/19 日本経済新聞 電子版

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過酷な生、悲痛な歴史…表現の先端切り開く記録映画
山形国際ドキュメンタリー映画祭 王兵「死霊魂」に大賞
 
2019/10/19  日本経済新聞 電子版

 

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ロバート&フランシス・フラハティ賞(大賞)の王兵監督「死霊魂」


人間は悲痛な歴史や過酷な現実とどう向き合い、映画はそれをどう表現するのか――。山形国際ドキュメンタリー映画祭2019は王兵ワン・ビン)監督「死霊魂」を大賞に選び、17日閉幕した。30年目を迎えた山形は今年も映画表現の最先端を示した。
8時間15分、全く退屈しなかった。「死霊魂」に登場するのは1957年からの中国の反右派闘争で粛清され、ゴビ砂漠にある再教育収容所に送られた人々。収容者3200人の多くが餓死し、500人しか生き残らなかったという過酷な生活をそれぞれに語る。
理不尽な摘発、虐待と飢え、狂気と死。高齢の生存者が次々と登場し、それぞれの壮絶な体験を数十分ずつ語っていく。事件の時系列に沿って証言を再構成しないし、歴史の解釈もしない。ただ証言する人の姿だけをカメラは延々ととらえる。
とつとつと言葉を選ぶ人、猛烈な勢いでしゃべり続ける人、穏やかに超常現象を語る人、怒って口をつぐむ人……。証言者はみな個性的だ。体験したことがそれぞれ違うように、語り方も、過去との向き合い方もそれぞれ違う。その違いによって悲痛な歴史が、より立体的に浮かび上がる。いわばポリフォニーだ。
王が反右派闘争を描くのはこれが3本目。「鳳鳴(フォンミン)――中国の記憶」(07年)は一人の老女のモノローグとして、「無言歌」(10年)は劇映画として撮った。今回はまた違うスタイルで歴史を呼び覚ました。審査員の諏訪敦彦(のぶひろ)監督は「人間の本質に分け入って行く稀有(けう)な叙事詩であり、映画の本質に分け入って行く稀有な叙事詩である」と授賞理由を読み上げた。

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札幌国際芸術祭

 札幌市では、文化芸術が市民に親しまれ、心豊かな暮らしを支えるとともに、札幌の歴史・文化、自然環境、IT、デザインなど様々な資源をフルに活かした次代の新たな産業やライフスタイルを創出し、その魅力を世界へ強く発信していくために、「創造都市さっぽろ」の象徴的な事業として、2014年7月~9月に札幌国際芸術祭を開催いたします。 http://www.sapporo-internationalartfestival.jp/about-siaf