ⅭⅩⅤ「化粧雪」を見る聴く、 『エイガニッキ』 SASHI-ハラダ 2022/11/24
寄席を経営する娘、主人公、父は病に臥せって、夢見がち、昔の客の沢山出入りの頃、育てた芸人が人気を博していた頃を懐かしんで、今や、客はからっきし、通りの向かいのラジオから流れる漫才に人気をさらわれて、今日も早慶戦の漫才で賑わっている、この屋敷の長男は、だらしない男で、大学を出たが、満足に働きもせずに、後も継がずに、飛び出して、長女がかくて寄席を仕切っている、夫婦者の二人が、世話役で、その下には娘が働いている、今日も客は僅か、冴えない芸、そんな通りに長男が戻ってきた、世話役の男が呼ばれて、後で話がと長男、夜、近所の酒場で飲み交わす二人、長男は金が要るのだと、こんな寄席の様子ゆえに、娘には縁談が前からあるのだが、そのままに、嫁に行ったら寄席は遣っていけない、父が何とか、元気を取り戻すまではと主人公、下の息子は学校に行っていることに、だが、寄席がままならずに、工場で働いているのだ、下の息子は何とか大学に行かせてくれと、建築技師に成りたいのだと、だが、今は無理と主人公、借金取りがやってきた、父親にはごまかして、借金を払うか、寄席を売るかどちらか考えてと、曖昧にごまかすしかない主人公、世話役の男は、いいなずけの旦那から借りればと、そうねと主人公、その最中に、長男に呼ばれての居酒屋、主人公に金を借りてもらえないかと、困惑の世話役、聴いては見ますがねと、かくて、翌日に、戻っている長男のことを話し出す世話役、金など貸せないとしっかり拒む主人公、父の病、主人公の三味線、久しぶりに聞きほれて、笑みの父親、父親は何も知らずに、のんきな病人、主人公はいいなずけに呼ばれて、京橋界隈で話する主人公、結局、結婚の話は、どこまでも、いつまでも、曖昧に、相手も、こういつまでも、曖昧ではと、その翌日か、番頭がやってくる、いいなずけの旦那は中国に行くのだとも云っていたが、長男が尋ねたらしい、これを渡してくれと頼まれたと、金を差し出す、その代わり、これまでの話は全てご和算にと、いいなずけの旦那には、他に結婚話もあるらしい、判りましたと主人公、金もまた受け取れないと、番頭は困り果てて帰っていく、世話役の男は昔の芸人らに声を掛けて、今は寄席は主人公一人で困り果てているのだと、それは知らなかった、何とか皆で出ますよと,笑みの世話役、こうして、張り紙を書き変える世話役、大文字で、チンドン屋も出て、盛り上がり、そんなさなかの夜、長男は、下の息子に、実印を持って来いと、大学にも行けると、そのままに、深夜、部屋に忍んで実印を手にする下の息子、主人公が気づいて、問いただす、涙の下の息子、長男は借金取りだろう、実印は持ってくるのでしょうねと問いただす、闇の中、大丈夫と長男、寄席には、昔なじみの有名芸人が大挙して押し寄せて、満員御礼、それでも、更に押し寄せて、芸が始まる、だが、父はそんな最中危篤に、医師が呼ばれて、下の息子は当然に、兄のところに行くはずもなく、長男は、寄席に走る、賑わいの最中、長男がやってきた、だが、父の死を聞かされて、愕然、主人公は、これで、何の思い残すことは無い、父が生きているさなかに、売ることなど出来なかったと、主人公は兄に、実印を差し出すのだ、あなたが決めてくださいと、主人公は、下の息子とともに、私たちも、何とか頑張ってやっていきましょうと、笑みで、覚悟の二人、こんな二人を呆然と見つめるしかない長男、ここでもまた、長男が駄目なのだが、これは経済とも、政治とも、軍事とも、許嫁の旦那も、中国に行くなどと云っていた、男たちは、皆、夢見がち、これが近代日本なのだ、富国強兵といいながら、、そこそこ、やって来た日本、だが、現実は、人々は、いまだ、圧倒的に、貧しいのだ、一部、財閥ばかりの発展で、人々は、貧しさの中、帝国主義に振り回されて、父の死した、芸人の集まった、客の殺到した、その後の、寄席の外では、雪が舞う、芸人たちは、もっと早くに云ってくれればと、世話役は、主人公に、いろいろ当たってみていると語っていたが、旦那が危篤とは、ここまで寂れているとは、結局、過去に世話になった芸人たちも、何も出来なかったのだ、誰もが主人公を助けられずに、さて、主人公は自ら、弟と共に、いかに、どこに、路地の、通りの、居酒屋の、寄席の、空間の場、間、こんな時空の語らいを聴け、