What A Wonderful World

毎日の暮らしの中で、心惹かれたことを語ります。

京極 夏彦 新刊インタビューから。

2009年06月02日 13時55分01秒 | 
2009年6月号掲載 著者との60分『厭な小説』の京極夏彦さんより引用

── デビューから十五年が過ぎましたが、小説作りで何か変化はありますか。

京極  まったく変わりませんね。小説は上手くなるものじゃないですよ。書くたびに戸惑うし困るし、常に同じですね。小手先のテクニックなんかは、小説の面白みとは関係ないです。わざと下手に書かないと通じないこともあるし、その都度最適な手法を考えていくしかないから、作品と向かい合うときはいつだって初心者で、毎回デビュー作ですよ。

プロの小説家とアマチュアの差は、「完」という字が書けるかどうかだと思います。雑誌に掲載できる形に整えて「完」、単行本にして「完」と書けるかどうか。書き終われば作者の手を離れて読者のものになるわけで、終わりが書けるか書けないかが実は大きいんです。僕の場合は、テレビドラマでいうといつも第一話であり、同時に最終回のつもりで書きます。いつだって次はない。タイトルに巻数もつけません。常に書き出しは初心者、書き終わりはこれで引退のつもりです。ただこの『厭な小説』で引退となると、書き終え感が「あー、厭だった」になるから(笑)、ちょっとイヤかも。

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 先日から話題にしてる「未完作家」の皆さんに読ませたいっ!(涙)

それはさておき、京極さんは「今年からは雑誌掲載中心のスタイル」に変えられたんですね。あのデビュー当時の燃えるような激しい熱は感じられなくなっちゃいましたけど、今回の「厭な小説」(祥伝社)も”オンリーワン”なお話のようで、なんだか嬉しいです。あ、でも読まないですよ(苦笑)これ、読んだら如何にも気分悪くなりそうなお話ばっかりなんだもん。
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