What A Wonderful World

毎日の暮らしの中で、心惹かれたことを語ります。

人の記憶。 震災から三年経った事によせて。

2014年03月19日 14時42分12秒 | 日常
 昨日はお彼岸の入り日だったので、お墓詣りに行ってきました。墓地の中をおじいさんとゆっくり歩いて行きながら、改めて周りを見てみると、斜めに折れた法名碑やズレた墓石などが、それぞれ修復されていて、あぁ震災から三年経ったんだなぁと感じました。

いまはなんでも土日祝日にあわせてお参りするので、入り日といえども墓地は人もまばらでがらんとしていて、言いようのない寂しさを感じました。自分だって久々にお墓詣りするくせに、賑わっていて欲しいというのは強欲ですね。震災当時は、余裕が無くて生きるのに精いっぱいだっらから、逆にお墓の心配をしていたように思います。墓石に机が突っ込んでいたり、でっかい魚があちこちで腐っていたり、ガレキでメチャクチャになった墓地を見た時は、大規模半壊した家と同じように、哀しさを感じました。普通にお墓詣りが出来るようになったのは、きっと良い事なんでしょう。

☆「河北新報 / 3月14日 河北春秋」より引用

 3日、3ヶ月、30年。事故や災害などの記憶が失われるまでの時間には、法則性があるそうだ。

「個人のレベルでは、3日で飽きて3ヶ月で冷めて3年で忘れる。会社などの組織の場合は、30年で記憶や教訓の伝承が途絶える。もっと時間軸を伸ばせば、60年もたつと地域が忘れてしまい、300年では社会から消えてしまう」

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 家の片付け中に、ワイングラスを新聞に包んであったのを開けていたら、震災当時の事が急に思い出されて涙がでてきました。当時は、このワイングラスをまた食卓に並べて食事ができるかしら?なんてことを考えもせず、余震から守らなくちゃ、割れずに残った、津波にとられなかった物だから、ちゃんとしまっておかなきゃとばかり考えていました。

上手く言えませんが、震災の後から絶えず考えているのが、震災の怖い気持ちを忘れて、新しい生活を過ごす事を求められつつも、決して忘れるなと言われ続ける、思い続ける難しさです。

あんなに家が立ち並んで、学校や病院や文化センターがあったのに、更地となって海が見えるようになってしまった河口近くに、今も怖くていかれません。ワイングラスを台所の新しい食器棚に並べるのも、随分ためらいました。目上の高さに物を置くのも同じく抵抗があります。お仏壇にロウソクを灯すのも怖いし、ちいさい花瓶しか買えませんでした。

あっという間とはけっして言えない三年間でした。これからどうなるんだろうという不安と、また大きな地震がくる、津波が怖い、という気持ちにさらされ続けた三年間でした。今年の3月11日のTVや新聞の報道は、ほとんどが震災からの復興は進まずとか遅れているとかばかりでした。確かに、手品のようにさくさくとは復興は進んでいないと思います。辛い暮らしやしんどい想いをしている被災地民は大勢います。

ですが、あれだけあったガレキの山はかたづけられました。ぼこぼこだった道路や排水路は直されつつあります。少しづつですが、新築の家もありますし、ひび割れた外壁の工事をしている家もあります。我が家のように、元の場所に家を建て替えて戻ってきた者もいます。決してこの三年間は、ゼロではありませんでした。被災地民の努力や、大勢のボランティアさんや支援に来て下さる皆さんの働きで、たくさんのプラスがありました。私たちは怖さと向き合って、悔しさを糧に毎日を取り戻そうと過ごしてきました。それだけは、支援して下さる大勢の皆さんの為に、まるで無かったのように言われたくはないです。

百年に一度の大震災からの復興が、果たして何十年かかるのかはわかりません。きっと、あと一・二度は、私が生きているうちに同じくらいの規模の地震がくるだろうなとも思っています。でも、生きます。やめません。不本意なちからで断たれる以外は、あがき続けます。


☆「まなめはうす / 3月18日 」( http://homepage1.nifty.com/maname/ )より引用

 人間の人間たる価値は、敗北に直面していかにふるまうかにかかっている。敗北とは、決して屈服ではないのだ。

by ヘミングウェイ

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