What A Wonderful World

毎日の暮らしの中で、心惹かれたことを語ります。

アダム・ファウアー 『心理学的にありえない』 ほか

2011年10月24日 13時54分17秒 | 図書館で借りた本
○ アダム・ファウアー 『心理学的にありえない 上・下』 (文芸春秋)

 第一作目『数学的にありえない』がすっごく面白くて、二作目はまだかな~♪と愉しみに待っていたんですが、がっかり。ネットで下巻のラストを「驚愕の仕掛け」と感想を書かれておいでの方がいらしたんですが・・・う~ん、そこまでびっくりしないというか、またかよ!という感じで、それよりも中盤もう少し何とかならなかったのかしら?と残念に思いました。上・下巻読むのがしんどかった~(苦笑)


○ 小川 洋子 『人質の朗読会』 (中央公論社)

*密林より引用:あらすじ

 遠く隔絶された場所から、彼らの声は届いた。紙をめくる音、咳払い、慎み深い拍手で朗読会が始まる。祈りにも似たその行為に耳を澄ませるのは人質たちと見張り役の犯人、そして…しみじみと深く胸を打つ、小川洋子ならではの小説世界。

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 何故こんな設定をつけたんだろう?普通に「お話し」としても良かったんじゃないだろうか?と、読む前は思っていたんですが、最後の「第九夜 ハキリアリ」を読み終わって、また繰り返し読んでというのを二回ばかりやって、なるほどなと思いました。

これは「胸の内にずっとしまっておく」とか「墓場まで持っていく」といった、決して他人には言えない、あるいは他人には伝わらないだろう心情のお話しという創作なんです。死ぬかもしれないから、だからこれだけは語っておきたい、そういう立ち居地でお話しを読み返すと、故人となった語り手さんたちの、とても静かで揺ぎ無い個性を感じます。これは創作なんだけど、ノンフィクションと言われたらそう思ってしまいそう。

東日本大震災のことがあるから、特に「ハキリアリ」の静けさと潔さには、読んでいて自然と頭が下がる気持ちでした。自然の強大なちからの前では、私たちはなすすべも無いちいさな虫。強いちからに流され飲まれ、それでもしずしずと己が役割を果たすべく歩き続ける。それは小さな川、消えてまた現れて、でも絶えることの無い小さな川。

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