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S・キング 『ドクター・スリープ』 読後感想

2015年07月07日 09時49分23秒 | 図書館で借りた本
 救済を描いたお話でした。上・下巻の厚さがまったく気にならないサクサク進むお話なのですが、やっぱり繰り返して読んじゃうのが、S・キング作品(笑)

いわゆる「続編」を望むときの理由に、登場人物たちの幸せな終わりを見たいという気持ちはありませんか?なので、このお話を単独で読んだ時に、『ローズ・マダー』や『恐怖の四季』のような、怒涛の恐怖や重い人間関係を期待しないほうが賢明です。これはあくまで『シャイニング』の「続編」です。

私は軽めのS・キング作品が好きなので、十分にキング作品ならではの味わいを堪能しました。自分が救えたかもしれなかった子供への後悔に苛まれ、アルコール依存と懸命に戦い、同じ”シャイン”の能力を持つ少女を救い導いていく主人公。子どもの時には見えなかった、理解できなかった事が、さんざん痛い体験をし、他人と関わっていく中で、徐々に主人公に見えていくさまが、いいおばちゃんになった自分に共感できた部分でした。

歴代の大統領の紹介の仕方(うっかり笑う)とか「導尿パックがいっぱいになっても施設の廊下に放置されている老人」とか、短いセンテンスでも人の心を叩く文章を読めるのが、私がS・キング作品が大好きな理由のひとつです。

あと「暴力への衝動(癇癪)を抑えられない」ことが、この作品でも書かれたことに、それほど制御できないことに苦しみを抱えている人が多いのだろうかと、いまさらですがうすら寒くなりました。

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