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ユッシ・エーズラ・オールスン 『特捜部 Q Pからのメッセージ』

2012年09月30日 15時41分22秒 | 図書館で借りた本
 シリーズ三作目は、またしても読み応えたっぷりの内容でした。


○ ユッシ・エーズラ・オールスン 『特捜部 Q Pからのメッセージ』 (早川書房)

>内容紹介

 「特捜部Q」――未解決事件を専門に扱うコペンハーゲン警察の新部署である。今回「Q」のカール・マーク警部補と奇人アサドのコンビが挑むのは、海辺に流れ着いたボトルメールの謎。瓶から取り出された手紙の冒頭には「助けて」との悲痛な叫びが。書き手の名前の頭文字はP。しかし、手紙の損傷は激しく、内容の完全な買得は難航した。Pはどうやら誘拐されたようなのだが……。過去の記録に該当する事件は見当たらない。北欧を代表するミステリ賞「ガラスの鍵」賞に輝く著者の最高傑作。人気の警察小説シリーズの第三弾

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 最初にお話の終わりをまず書くのもなんなんですが、全576ページは、ラスト3ページの為にあったんじゃないかという、圧巻の終わり方。救いようのない犯人の歪みが生み出した残虐な犯罪の被害者たちが、犯人はけっして手の及ばぬであろう魂の救済を迎えるのを読んで、満足のため息が出ました。

今作のもっとも巧みな部分は、「特捜部 Q」の三人のメンバーの、人間臭い弱みとか悩みとかが存分に描かれ、それと対照的に、宗教の異様な教えにがんじがらめになって息もできない大人や子どもたちが描かれることによって、自身の宗教観や社会観を考えさせられるところでしょう。

犯人は・・・同情の余地も無いと書くと、あんたどれだけえらい人間なのさ?と言われそうですが、文中で犯人が、

>神の名を語れば、他の誰よりも自分が上でいられると思っていられるやつは、みんな地獄へ堕ちろ。そんなやつらが憎かった。そんなやつらを全員、この世から消し去りたかった。 

と語るのを読むと、宗教って人間を救うものじゃないの?という、根本的な疑問が頭をもたげてきます。こういう人が日本のゆるさを体感したら、カルチャーショックというか、もう頭にくるよね、きっと(苦笑)「なんで日本は、キリスト教の布教率がこんなに低いんだ?」と海外の人たちが語るスレを読んだこともありますしね。私は八百万の神様がおいでという考え方が、とっても好きですけど、一神教は大変ですよねぇ。


巻末解説に、四作目の内容がちらっと書かれていて、嬉しくなりました。長く続いて欲しいシリーズですけど、このハイレベルな品質でどこまでいけるかしらとも思います。

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