*貫井 徳朗さんの『乱反射』の重大なネタバレをしています。お気をつけ下さい。
日本推理作家協会賞を受賞した貫井さんの『乱反射』を、選評委員の北村薫さんが、
>かつてイギリスの有名なミステリー作家は、登場人物のほとんどが犯人という小説を書いた。(『乱反射』で描く)幼児の「不運」な死に似た事件を他に求めるなら、そのミステリー小説しか見当たらないだろう。
と仰っていたんですが、「幼児」のでは無いけれど、同じような状況での「不運な死」を描いたドラマはあったよな~と、つらつら思い出してました。
調べたら、1974年に放送開始のドラマですから、覚えておいでの方いらっしゃらないかもしれないですが、『夜明けの刑事』という坂上二郎さん主演の作品があったんですよ。そのお話のどれかで、アパートの一室で男性が死んで、そのアパートの居住者全員の実にささやかな行動(漏電を放って置く等)が繋がって、男性に死をもたらしたことを、二郎さん演じる刑事さんが突き止めるというものでした。
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夜明けの刑事 - Wikipedia
私が観ていたのは、小学校低学年の頃だったのですが、その当時はアガサ・クリスティーの名前すら知らなかったので、「全員が犯人」(全員がその死に責任がある)という設定にはビックリしました。『刑事コロンボ』を観始めた時と同じく、その発想の転換の素晴らしさに感動したものです。
いまでも、二郎さんが死亡した男性の部屋に居住者全員を集めて、それぞれの行動を指摘し、「あななたち全員の行動が、○○さんを死なせてしまったんです!」(記憶に頼っているので、正確なセリフじゃないです)と叫んで、じゃーん!と終わった映像を覚えているんだらか、相当じゃないですか?(苦笑)
このドラマで、張り込みをする刑事さんは、あんぱんと牛乳を食べるんだなぁと学ぶんだり(笑)鈴木ヒロミツさんの歌う「♪違う、何かが違う、で~も~何かが、ち・が・う~」というED曲に心打たれたりしてたんですよ。まったくもってうちの家族は、よくもまぁ小学校低学年に普通に観せてくれてたもんで、いまとなっては感謝です(爆)
いまテレビで放映したら、たぶん放送コードに引っかかるような、刑事さんの行動やセリフや犯人の設定が多数あって、ピー音やらカットで何がなにやら判らんものになるでしょうけれども、当時の刑事ドラマって、はんぱなく個性的で面白い作品ばかりでした。この当時の刑事ドラマの脚本を書かれていた作家さんの中には、凄い人が大勢おられたんでしょうねぇ。ドラマ脚本は、一般にはあまりスポットライトが当たらないようですが、名作ドラマ脚本集とかが発行されたら、面白いと思うんだなぁ。