風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

美輪明宏 『ああ正負の法則』

2007-10-10 00:06:41 | 

よく結婚式などで、「幸せになってね」とか、「幸せになります」、「してみせます」とかいう言葉が飛び交いますが、では、いったいその幸福とは何でしょうか。それは充足感です。何もかも満ち足りた気分になった時、それが幸福なのです。しかしその成分は泡で出来ています。ほんの短い時間、一瞬で消えてゆくものです。
メーテルリンクは『青い鳥』でそれを抽象的に表現しました。手にした瞬間に飛び去るものとして。でも、それだからこそ有難味があり、貴重なものとしての値打ちがあるのです。もしその幸福感が絶え間なくずっと持続したとしたら、人間はシマリのないボケーッとした薄らバカになってしまうでしょう。
それなのにどういうわけか、世の人々は「幸福になりましょう」、「なってください」、「なります」と、まるで一度手に入れたら永久に形が変わらない固形物ででもあるかのような錯覚を起しています。永久不変のものなんてこの世にはあり得ないのです。
特に幸福というシロモノは、陽炎のように儚いものなのです。
疲れ果てて寝床に大の字になった瞬間「ああ、寝るより楽はなかりけり」と、しみじみと幸福感を味わう時。風呂につかって手足をのばした時。春、ふっと南風が吹いて胸がキュンとした時。愛する人と抱擁の時。長い間、欲しかったものを手に入れた瞬間等々。幸福だなあと思うのはその時だけです。その感覚はせいぜい五分か十分後には薄れていき、やがて麻痺してしまい、それが当たり前になり、何も感じなくなってしまうものなのです。
しかし、いつでもどこでも、今すぐに幸福になる方法、常に幸福感を味わえる方法があります。
それは簡単なことです。つまり、どんなことでも何でもよいから<感謝すること>を自分の中に、まわりに探して見つけることです。「見える、ああ有難い」「聞こえる、ああ有難い」「話せる、ああ有難い」「手足が動く、雨風をしのげる天井や壁のある所で寝起きができる、ああ有難い」、「着るものがある、食物がある、ああ有難い、幸福だなあ」等々。・・・
世の中で忌み嫌われている、病気や貧困や不安やトラブルという<負>の部分は、実は幸福を感じるためのバロメータなのです。断食の行とは世の中のあらゆるものを感謝する心を芽生えさせるための行なのです。

(美輪明宏 『ああ正負の法則
』)

昨日の日記の内容と似ているので、ついでにご紹介。
(昨日紹介した言葉はこの本からではありません。あの出展は忘れた・・・)。

これは私が唯一読んだ美輪さん本。
きっかけは、、、なんだっけ、、、三島由紀夫だったかな、、、?
面白かったですよ、とっても。
美輪さんの言うことに100%同感なわけではないけれど、他人を羨む前にまず自分の足でしっかりと立ち、世間に流されず、自分を磨く努力を怠らない、そんな生き方には激しく共感。

こういう考え方をする大人が日本にはもっと必要だと思う。
他の著作も興味あるけど、今は読みたい本がたくさんあるので、いずれ機会があれば。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする