風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

谷山浩子 猫森集会2015 Cプログラム @全労済スペースゼロ(9月26日)

2015-09-27 14:23:10 | その他観劇、コンサートetc



というわけで、行ってきました初・猫森集会
私が選んだのは、Cプログラム2日目。
といってもわたくし世間に超疎いため、今回のゲスト、全員存じておりませんでした
とりあえずwikiってみたところ、小室等さんのご経歴の中に「谷川俊太郎」「中原中也」の文字をみつけ、Cプロに即決。
だがしかしそれから数ヶ月。なぜかこの組み合わせだけ、いつまでもチケットが売れ残っているではないか。AもBもDも完売なのに。そんなに人気がないのか?
・・・まあいい。売れ行きや視聴率は私の場合感動と一致しないことが殆どであるから、その法則からするとかえって期待は高まるというもの。それにギター片手のステキおじさまと可愛らしい浩子さんの組み合わせは大好物である。6月の東文でも「小室さんに8年ぶりに猫森集会に参加いただけることになりました!」ってすっごく嬉しそうに報告されていたもの。

そして迎えた本日。

よかったよぉぉぉ~~~~~
思ったとおり大好きな世界だった~~~~~
涙ポイントが何度もきちゃって、トークの度に照明が明るくなるのがわかっていたので泣かないように我慢我慢。

以下、セットリストと感想。
記憶違いがあったらすみませんm(__)m

「ねこの森には帰れない」
この会場は初めてだったので全く座席について知識がなかったのですけれど、いわゆる正面席だったようで、浩子さんの顔がしっかり見られて一安心。石井AQさんのシンセの手元もよく見えました。

「空からマリカが」
「えっと、空から女の子が降ってくる歌です^^」と一言、浩子さん。曲もシュールですけど、紹介もシュール^^; 
夜明けのひんやりする湿気や空気が伝わってきました。とてもとても美しかった。いやぁ、やっぱり生で聴くのって迫力が全然違いますね~!

「よその子」

「いつもは最後の方で歌う曲なんですけど」、と浩子さん。
早速、本日一回目の涙ポイント だって大好きなアルバム「宇宙の子供」の中でも大好きな曲で、生で聴きたかった曲トップ3に入る曲なんですもの。
浩子さんがこの曲を歌っているところを見るのはもちろん初めてでしたが、あんな表情をされて歌うんですね。なんか表情を見ているだけで泣きそうになってしまった。
歌い終わった後で浩子さん曰く途中でミスってしまったらしいのですけど、感動しすぎてて気付かなかったわ。どこだろ。窓が開いたのところ?違う?

「Puzzle」
てんかすトリオ(ももクロZ&なんちゃら&なんちゃらのトリオだそうです)へ歌詞を提供した曲だそうです。
「(誰もいないステージ中央を指して)この辺に可愛い女の子3人が踊っていると妄想して聴いてください」。
アイドルっぽい曲(昔のではなく今の)を歌ってる浩子さんが新鮮

「無限マトリョーシカ」
声優でアイドルの上坂すみれさんに提供した曲。シングルのB面笑。
「上坂さんは大学でロシア文学を専攻されて、ロシアが好きな方なのでマトリョーシカにしました。スペードの女王の話をしたらすぐにプーシキンですね!と返ってきて、おお!と」
「とっても難しい曲なんですが一年間練習してきたのでだいぶ・・・あ、練習じゃない ソロライブで歌ってきたので、です 今の聞かなかったことにしてくださいね」って、浩子さん相変わらず楽しい笑。

「へのへのもへじの赤ちゃん」
別役実 作詞、小室等 作曲。
へのへのもへじのあ~かちゃん~ あなたの地球はもう~ないの~ あなたの~お父様が~食べてしまわれた~♪
高校生の頃にすごく好きで、ピアノを弾きながらよく歌っていた曲とのこと。
「小室さんが歌うと闇がぶわっと広がる感じがする」みたいなことも仰っていました。
浩「昨日小室さんから聞いたんですけど、この曲はlet it beを聞きながら作ったからイントロがそっくりになっているそうです。というわけで今日はlet it beのイントロでやってみようかと。・・・怒られちゃうかな」 石井AQ「ポールに?」 浩「(笑)ポールには怒られてもいいです。知り合いじゃないし笑」
イントロとエンディングが浩子さんのピアノでlet it beで、この曲の歌詞に不思議と合っていて、素晴らしかったです。
この曲好きだわ~。合歓の花

~小室さんご登場~

「雨が空から降れば」
別役実 作詞、小室等 作曲。
公園のベンチでひとり~おさかなをつれば~ おさかなも~また~雨の~中~~♪
公園のベンチで・・・魚・・・。フォークな曲調なのに歌詞が明らかにおかしい笑。
 
小「中学三年生のときに楽屋に会いにきたんだよね。変な子だな~って。中学三年であんなのが好きなんて。寺山修二とか別役実とか、当時のアングラ演劇は不条理がテーマのものが多かった。ベケットの『ゴドーを待ちながら』なんかもゴドーが誰かもわからない、でも待ってる。待っていても来ないのに、いつまでも待ってる。来ないものを待ってるような、ないものを探してるような、あなたの曲にもそういうところがあるよ。来ないかもよって言われる方が、絶対来るって言われるよりも信じられるとか、そういうのってあるよね」
浩「夢は絶対に叶う!とかね」
小「でも、あなたの曲ってそういうところもあるよね。もしかしたら叶うかもしれないって感じるような」
浩「う~ん、、、叶う可能性は全くゼロではないかもね、くらいの感じですかね笑」
小「浩子ちゃんは僕ではなく別役実の世界が好きだったんだと思う」
浩「それは違います!別役さんももちろん好きですけど、私は小室さんが好きなんです!」 ←真剣な表情の浩子さん^^
浩「だって初めていいなぁって思ったのが『比叡おろし』でしたから」
小「『風は山から降りてくる レタスのかごを抱えて』って、変な曲だよねー」
浩「でも好きなんです。他の人が歌ってるのを聴いても感動しなかったですもん」
小「俺も笑」
浩「・・・やっぱり!?」
小「うん、俺が歌うのがいいって意味じゃなくて、他の人が歌ってるのを聴いてもいいと思わなかった」
浩「だから私は、小室さんが好きなんです」
小「そんなこと言われると・・・惚れちゃうよ?」
浩「笑」

「百三歳になったアトム」(小室さん朗読)~「鉄腕アトム主題歌」
浩「子供の頃にアニメをお蕎麦屋さんで見て」
小「蕎麦屋で笑?」
浩「はい、家族と行った横浜のお蕎麦屋さんで。男の子が地面に足がくっついちゃってそれを一生懸命持ち上げようとしてて、それでその子はロボットなんだって気付いて、萌えて笑、漫画も全部読みました。これ、明るい話って誤解してる人も多いけど実はものすごく暗くて救いがないんですよね。子供ってそういうものに惹かれたりしますよね」
小「アトムがさ、可哀想なんだよね」
浩「そう、可哀想・・・」
小「人間を守るために作られたロボットだから、人間には危害を加えられないんだよね。そうプログラムされてる」
浩「でも七つの威力のうちの一つが、良い人間と悪い人間を瞬時に見分ける力なんですよね。でも、悪い人間だってわかっても攻撃はできない。すごく辛いですよね。あれはどんな風に考えればいいんだろう・・・」
小「このアニメの主題歌は谷川俊太郎さんの作詞ですが、今から10年くらい前に谷川さんは103歳になったアトムっていう詩を書いてるんです。その詩を朗読してから、歌います」

この曲のジャズ風アレンジは谷川さんの息子さんがされたのですが、ものすごーーーく難しいのだそうで。浩子さん曰く「川村竜さんどころじゃない」と笑。
この曲が、本日二回目の涙ポイント。
小室さんの朗読もとてもよかったのですけど(いい声~~~&上手い!)、浩子さんがね、すっごくいい顔で歌うのよ、アトムの歌を。3.11を経験した今の私達にはこの歌詞はものすごく色んなことを考えさせられる歌詞になってしまっていて。それをね、本当に本当に優しい笑顔と声で歌うの。夕日を見ながら遠い昔、単純に明るく幸福だった頃を思い出しているアトムの声のような。そして、その哀しみに寄り添っているような。
私は、科学技術の明るい未来というものを信じていて。地球が人間を生み、その人間が生み出したのが科学技術であるのだから、それらは母なる地球の一部なわけで、科学技術の発展は良い悪いではなく自然のあるべき姿だと思っていて。だから人間が人知を超える存在への謙虚さと畏れを忘れないでさえいれば、この二つが共存できる道はきっとあるはずだと信じているのです(だから地球交響曲の龍村監督の考え方がとても好き)。
アトムは科学の子。人間を守るために作られた、原子力で動くロボット。
「夕日ってきれいだなあとアトムは思う だが気持ちはそれ以上どこへも行かない」。なぜならアトムは人間ではなくロボットだから。ピーターパンと同じ、成長しない永遠の少年だから。「綺麗だな」の先へ気持ちの行かないアトムを、必ずその先へ気持ちが行ってしまう人間と比べると、その純粋さが美しくさえ思える。アトム自身に罪はない。そして私達はその先へ気持ちが行くことができるからこそ人間なわけで。アトムを生み出したのが人間なら、それを使うのも、あるいは手放す決断ができるのも人間。それは人間が万能だからではなく、人間は万能ではないから。科学は完全ではないから。それを今、私達は大き過ぎる犠牲をもって十分に知ったはず。
 「幸福のためにあるはずの科学技術が、人のエゴや欲でゆがめられてしまう。アトムはいつもそのはざまで悩んでいるんです」手塚治虫さんの娘さんの言葉。

「夏が終わる」
谷川俊太郎 作詞、小室等 作曲。
(たしかこの曲のときに)小室さんが歌い終わると、浩子さんが興奮気味に「こういう感じは小室さんにしか出せないんですよ~~~!!」と^^。
小室さんの大ファンで追っかけをしていたという中学生の浩子さんを見ているようでした
この曲、好きだなぁ。季節も今にぴったりだった。

浩「面白かったのが、昨日のアンケートで『いくら軽井沢でも海王星は肉眼では見えません』って笑」
小「それはね、見えないよね笑」
浩「まあ、『そういう風に見えた』っていうことですよね。私も時々言われます。『そういうのは子供の教育のために困ります』とか」
小「そんなマグロはいません!とかね」
浩「そうそう笑!」

「片恋の唄」
「カタツムリを追いかけて」
この曲とこの後の「終電座」は、何をそんなに急ぐ必要があるの?もっとゆっくり生きてもいいじゃない、とそんな風に言われているような気がしました。おばあちゃんやおじいちゃんや、生きるのが不器用な人や、そういう人に対する心の余裕。それはひいては自分の心の幸福にも繋がる。明るく可愛く、チクリと棘も隠した、いい歌ですね。
トークは、カタツムリが美味しいかどうかとか、石井AQさんは変なものでも美味しく食べるとか、小室さんは人が美味しいと言ってるものは自分も美味しくないと悔しいから美味しくなってみせるとか、食べ物の話 

「三日月の女神」
「神様」

浩「小室さんは私の音楽の神様ですから、神シリーズを2曲続けて」
本日第三回目の涙ポイント。というか鳥肌ポイント。「神様」、CDで聴いていても好きな曲ではあったけど、ここまでゾワゾワ来なかったんだけど、生で聴くと美しいは迫力あるは、いやぁ、神様が見えたわ、ステージの上に。小室さんと浩子さんと石井AQさんが三角形になったその場所に。壁に映る樹の影のライティングも、雰囲気満点でした。

「きみのそばにいる」
デビュー35周年にやっと勇気を出して小室さんに参加をお願いしたというアルバム『フィンランドはどこですか?』より。
浩子さんと小室さんの掛け合いが温かかった。。。小室さん、いい声だぁ。浩子さんは小室さんと一緒に歌ってるときすごく嬉しそうな、幸せそうな表情をされますね。
この曲も涙ポイントでした

「FINLAND」
いいねぇいいねぇ~。すっごい楽しかった♪ 「ロシアの近く 確かあのへんの どこかにある」「ベトナムからはたぶん遠くて 日本からも遠い」笑
丸い風車のようなライティングも可愛かったです。

「終電座」
うわ~~~~カッコいい~~~~~ 三人ともなんてカッコいいの(>_<)!!やっぱり最後は盛り上げてくれますね~~~。
真っ暗な客席が小さな丸いライトでクルクルクルクル照らされて、3番は客席も歌って(周りの人達歌えてた、すごい!私は歌詞覚えてなかったからムリだった;;)、とても素敵な異空間でした。電車担当の小室さんの声にうっとり。

「ひとりでお帰り」(アンコール)
本日もう何度目かわからない涙ポイント。
今夜ここに一人で来てる人も、誰かと一緒に来てる人も、きっと私達はみんな、「ひとりでお帰り」なんだなぁ、と感じてウルウル(意味わからないですよね、すみません)。本当に、優しい歌だなぁ。。。
本日唯一ピアノを離れて、センターに立ってハンドマイクで歌った浩子さん。すんごい素敵でした。ありがとう、浩子さん。ちゃんと、おうちに帰ります。

17:30開演、20:00終演、休憩なし。
今夜は小室さんのおかげで予想外に谷川俊太郎ワールドに沢山触れられて、今月の谷川さん親子のトーク会@佐野洋子展チケットを捨ててしまった落ち込みから少し浮上させていただけました・・・(捨てちゃったんです、間違って生ゴミと一緒に・・・・
政治の方向に向かいかける小室さんの話をやんわり谷山ワールドな空気に中和していた浩子さんにも、惚れ直しました。そしてここが谷山ワールドであることをちゃんとわかっている小室さんがまた素敵でした。
そして小室さん、室生犀星もお好きなのですね。
そして別役実さんは寺田寅彦の血縁なのですね(これはwikiって知った)。
長年のマイブームと最近のマイブームと浩子さんと、私の大好きがいっぱい繋ぎ合わさった幸福な夜でございました。

あ~楽しかった~~~。やっぱり浩子さんは素敵

そうそう、みゆきさんのアルカディアのDVD出ますね~♪買わなきゃ!高いけど。。。

来週は私にとって7年ぶりのハイティンク&ペライア(@ロンドン響来日)!!
今月は歌舞伎座と文楽は結局行けませんでした・・・。シネマ歌舞伎の高野聖もとても観たいけれど、時間とれるとしたらロンドン響前だけなのよね。同じ日にハードかなぁ・・・。


よその子


終電座


ひとりでお帰り