風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

ゲルギエフ、ウィーンフィル、ラトル、ロンドン響

2020-11-04 00:03:01 | クラシック音楽



あぶないあぶない、一日にサンクトペテルブルクで行われたマツーエフのゲルギエフ&マリインスキーとの演奏会の映像(ショパンのピアノ協奏曲第2番)を彼のインスタで観て、思わず来週のサントリーホールのチケットをポチりそうになってしまった。
あぶないあぶない、チケット代に39000円なんていう記録を更新してはいけない(これまでの最高記録はパリオペの25000円也)。来週のサントリーホールは住む世界の違う人達の場所であることを思い出すのだワタシ。

しかしウィーンフィルが本当に来日するとはねえ
オケはウィーンからチャーター便で来るそうだけど、マツーエフとゲルギエフはサンクトペテルブルクから日本に来るのかしら?でも今は入国できないはずじゃ?と思っていたら、なんと一旦ウィーンに行ってから、オケと一緒にチャーター便で来るそうで。ていうかそもそもこのチャーター便自体が特別扱いなわけだけど、マツーエフのFBによると今回の来日公演が可能になったのは「オーストリアと日本の首相の合意が得られた」からだそうで。ほぅ。つまりロンドン響が来日できなかったのは英国と日本の首相の合意が得られなかったからなわけね、なんてちょっとイヤミの一つも言いたくなったりもするけども(マツーエフに対してじゃなく政府に対してね)。
しかしこういう状況を見ていると、ゲルギエフがプーチンと仲良しになっている理由も理解できる気がしたり。ヤンソンスさんが言っていたauthorityという言葉や、音楽は政治と無関係なところにあるべきではないというサロネンの言葉も思い出したり。
いずれにしても来週の演奏会を聴ける人達は羨ましいなあ。ゲルギエフ&ウィーンフィルの火の鳥、youtubeで聴いたことがあるけどすごくよかったものなあ。でもゲルギエフの指揮は天と地のどちらにでるか大きすぎる賭けだから、39000円はやっぱり払えないワタクシ。。。経験的には勝率のが高いのだけども。。。

ところで先日、ラトル&ロンドン響がバルトークのオペラ『青ひげ公の城』の演奏を日本の聴衆に宛てて先行配信してくれましたね。わたくし見逃してしまい、後でyoutubeで観られるからいいや~と思っていたら先行配信にはあった日本語字幕がない 英語字幕もない オペラを見慣れていない私は字幕がないととても理解するのはムリ。なので演奏後のラトルの挨拶だけ見ました。

Bartók Duke Bluebeard's Castle // London Symphony Orchestra & Sir Simon Rattle


日本への愛のこもったメッセージ(1:06:10~)を、ありがとう
ヨーロッパでは感染者数が増加し、フランスやウィーンではテロが起きて。世界中がまだまだ落ち着きませんが、再び皆さんの演奏を日本で楽しめる日が遠からず来ますように。ウィーンフィルの皆さんも、無事に来日公演を終えられますように。

※追記①:ウィーンフィル、どうにも諦めきれず、11月9日に行ってしまいました。。。感想はこちら

※追記②:
私のゲルギエフ&プーチン仲良し説の根拠はクリミア半島問題のときの署名と(これはマツーエフもですね)サロネンのインタビューからだったのですけど、昨年のマリインスキーとの来日のときのこんな記事↓を見つけました。

すぐに打ち解けたゲルギエフに小林氏は、国家の混乱の中で文化が崩壊する懸念を伝えると、彼は「政治や経済がダメになって、一緒にダメになるようなものは文化とは言わない。本物の文化によってロシアを再生させてみせる」と言い放ったという。・・・聴講者から、ゲルギエフとプーチン大統領の関係について質問された小林氏は「2人は仲がいい」と明かし「プーチンは文化に根差した強い国、国民が信頼する国を作ろうとしている。それは私の考えと同じ」というゲルギエフの言葉を紹介した。
元NHKモスクワ支局長が指揮者・ゲルギエフの素顔を紹介!

へえ。
じゃああのボリショイバレエの公演で安倍さんが「プーチン大統領の肝いりのキャスト」と紹介していたのも、案外本当だったのかな。あのときは一国の大統領がバレエ団のキャストにまで詳しいものだろうか?と思ったのだけど。まあ考えてみればそもそもソ連がそういう国でしたしね。良くも悪くも文化が国にもたらす価値の大きさを知っていて、西側に対抗できる文化的に強い国を作ろうとしていた。どの学生をコンクールに参加させるかまで政府が決めていたような多分に歪んだ方法ではあったけれど。それはやりすぎだとしても、政府が文化の価値に無関心すぎる日本のような国も問題だよね。。

ちなみにゲルギエフによると、彼はクリミア問題で署名自体はしていないのだそうです(そうだったの??)。以下、ロシア・ビヨンドのインタビューより。
まず、私は何も署名しなかったということを申し上げたい。文化大臣のウラジーミル・メジンスキーが電話をかけてきて、「クリミアの事件をどう思いますか?」と聞くので、「人々を救わなければなりません」と答えたら、「プーチン大統領への手紙に署名されますか?」と言うので、「文面を送ってください。まず目を通さないとね」と言いました。それっきりです。何も送ってこなかったのに、その数時間後には、マスコミ報道で、私が最初の署名者にされていたことを知ったのです…。

私の考えでは、こういう連署の公開書簡は、まったく何の役にも立ちません。ソ連時代の残滓ですね。プーチンには明晰で透徹した論理が、クリミア、ウクライナのみならず、他の問題にもあります。大統領は、自分でちゃんと説明し、納得させることができますよ。ロシアは、こういう強力なリーダーがいて、幸運です。彼は、文化人の助けなんか必要としません。いわんや、こんな公開書簡という形ではね…。

 私見では、この種の手紙は、全体の立場を強めるどころか、逆に、我々一人ひとりの足場を掘り崩すのが落ちです。手紙なんて、余計なお節介ですよ!私は市民ですが、“署名屋”じゃありません。我々は、必要だと思うことは自分で発言する覚悟があります――くどいようですが、どんな相手に対しても。私はかつて、アメリカ議会図書館で、上院議員、軍人、専門家の前で演説したことがあります…。そのなかの多くの人とは個人的に知り合いでした。カナダでも南米でも日本でも同じことです…。

Valery Gergiev: 'Putin is cleverer than most'
Is maestro Valery Gergiev being scapegoated for Russia’s anti-gay laws?(Los Angels Times, Dec 30, 2013)
Valery Gergiev wants to make music, but the West brings up Putin(Los Angels Times, Feb 19,2015)
クリミア問題を含むゲルギエフの意見は、このLos Angels Timesのインタビューでかなり率直に述べられています(本心かどうかは本人にしかわかりませんが)。
For Valery Gergiev, boos and cheers at Bayreuth and Salzburg(Los Angesl Times, Aug 21, 2019)

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