風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

PCを捨てる

2022-05-09 23:22:29 | 日々いろいろ




自宅のPCの調子が悪くなったので、最近買い替えをしたのです。
古いPCは東芝製の2011年秋モデルなので、なんと11年ももったんですね。ビックリ。今の新しいHP製のPCが11年後も使える気は全くしない。それは今東芝製を買ったとしても同じ。ていうか11年後って何歳だ?56歳か。
そんなわけで古いPCの廃棄は久しぶりなのですが、ええと、まずはデータを消去しなきゃいけないのよね。
11年前のマニュアルどおりにやってもうまくいかなかったので(OSをアップグレードしたためと思われる)、ネットで調べた「設定→回復→PCをリセットする→全データを削除」という方法を試してみたら、初期化が完了するまでなんと8時間もかかったよ。。。「このPCを初期状態に戻しています 21%」の画面が5時間くらい変わらなくて、いい加減に強制終了したくなったけどPCはカタカタ頑張っているようだったから、根気よく放置しておいたら(ヘンな日本語)、ちゃんと初期化されました。
初期化だけでは不十分という話もあるけど、怪しい業者ではなく東芝に回収してもらうので、もうこれで完了とする。

さて、回収の依頼もしたし、あとは梱包するだけ。
ふむ・・・。最近使っていなかったから、ホコリだらけ・・・。
私は元々物に執着がない人間で、これまでの私なら「どうせ廃棄するPCだし」とそのまま梱包していたと思うけれど、今回はホコリをはらい、水拭きしました。
というのも、亡くなった友人との会話をふと思い出したからで。

以前友人と雑談していたときに「古くなった下着や靴下って、最後はどうしてる?」と聞かれ、「雑巾替わりにベランダとかトイレとかを拭いてから捨ててる」と言ったら、「うちの母と同じだ(笑)」と笑っていて。「私はそれができなくて。洗って、たたんで、『今までありがとうございました』ってお礼を言ってから捨ててるの」と。私は感動して、一人暮らしで誰も見ていなかったとしても彼女ならきっと一人でそうしているに違いないと感じ、「優しいね~~~!」と言ったら、「いや、本当は母やcookieさんみたいに最後までちゃんと使ってあげた方がいいんだよ。でも、私はそうできなくて」と笑っていました。

彼女はとても真面目で(といって真面目一辺倒なわけでもなく、面白いところもあった)、彼女が亡くなったときに同僚が「彼女が『ジャムの作り方を教えてほしい』と言ったから教えてあげたら、本当に作って持ってきてくれて。普通は話の流れでそういう会話になっても、実際にそうする人って少ないじゃない?でも彼女はそういう人だったよね」と。
私も覚えがあって、雑談の中で「神楽坂って行ったことがないから行ってみたいんだよね」と言ったら、美味しいお店を教えてくれてその時は会話が終わって。そしたら翌日にそのお店の載った神楽坂の散策マップのコピーをわざわざ持ってきてくれて。ネットで調べればそういう情報はすぐに手に入るのに。そういうことが、彼女との間ではいっぱいあったな。自宅から昔の歌舞伎の筋書や彼女の宝物(仁左衛門さんの襲名のときのテレフォンカード)をわざわざ持ってきて、見せてくれたり。その時のノリで適当に言ったり聞いたりしない、というよりおそらくそういうことを思いつきさえしない、世の中にそういう人間がいるということも思い浮かばない、そんな人だった。
相手がそうだと、私も変わって。彼女が喜びそうな本を持っていったりして。それを彼女もちゃんと読んで、感想を言ってくれたり。

話が長くなってしまいましたが、そんな彼女のことを思い出したら、11年間一人暮らしの私と共に頑張ってくれて楽しみをいっぱいくれたPCをホコリだらけの姿のまま捨ててしまうことができなくなってしまい。
軽く濡らしたキッチンタオルで拭いてやりながら、これを買ったときは近所の電気屋で限定セールで、この赤色が気に入ってその場で衝動買いしたんだったなあとか思い出し、そうしたら自然と「今までありがとう」と声をかけたくなる気持ちになったのでした。
彼女からは本当に、人間の優しさやこの世界の美しさを沢山教えてもらった。丁寧に生活するということも。
これからはもう少し本当に大切なものだけを自分のもとに置いて、しっかり愛着をもって大事にしよう。でも布物は捨てる前にベランダ掃除に使うけど笑。

そういえば友人はそういうタイプなので、物を捨てられないのだと言っていたな。何年も前に彼女が食べて美味しかった台湾のパイナップルケーキのお店のリーフレットを大切にとってあって(彼女の自宅の整理箱の中は完璧に年代順の地層になっているからすぐに見つけ出せるのだと言っていた笑)、同僚が台湾に出張に行ったときにその紙を見せて同じお菓子をお土産に頼んでいた。そして同僚はちゃんと買ってきた。亡くなる数週間前のこと。

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