先日、哨戒艦沈没事件の時には、安保理に持って行って大騒ぎをしていたのに、今度の延坪島砲撃事件で持って行かないのはフシギダネ、と書いた(延坪島砲撃事件が安保理決議に回されない不思議)のだが、そうすると、またしても当方の要求に応えたかの如く、安保理開催が決定された(笑)。
>時事ドットコム:国連安保理が緊急会合へ=朝鮮半島情勢で-ロシア通信社
(勝手な妄想を書いてみるから。
当方が16日に記事を書いてから、18日午後3時開催、ということになるまで、ごく僅かな時間しかなかったわけです。米国の外交筋は、仕事が早いな。情報を評価し、議題に上げてから、意思決定までが驚くほど短時間でできるのだな。そこから各チャネルを動員し、実際に話をつけるのがこれほど早く動けるとは、もう驚嘆に値しますわ。日本のマヌケ外務省にも見習って欲しいものです。でも、18日開催は各国メンバーの都合がつかずに流れてしまい、延期されましたな。そりゃあ、あんなに急に開催を宣告されても、あまり関係のない国々にとっては、寝耳に水の話だったでしょうから。それほど唐突すぎだった、ということでしょう。)
結末はこんな感じらしいです>朝鮮半島めぐる安保理協議打ち切りへ 中国は自らの努力を自賛 - MSN産経ニュース
(一部引用)
【ニューヨーク=松尾理也】朝鮮半島情勢をめぐる国連安全保障理事会の協議をめぐり、米国のライス国連大使は緊急会合での議論が物別れに終わって一夜明けた20日、国連本部で「議論を続けることは特に必要でも生産的でもない」と語り、協議はいったん打ち切られるとの考えを示した。
ライス大使は、ロシアの要請により緊急会合が開かれたものの、日米などと中露との対立が解けず物別れに終わった19日の段階から、安保理での議論には「なんの進展もなく、声明案についての具体的なやりとりも行われていない」と明かした上で、「少なくともひとつの理事国は、本国からの指示があったのかどうかさえ明らかにしていない」と、暗に中国を批判した。
韓国の軍事演習に北朝鮮が対抗措置を講じないと表明したこともあり、ロシアの緊急会合要請に端を発した今回の安保理での協議はいったん打ち切られる見通しとなった。
背景はよく分からない。
が、ロシアが唐突な「安保理緊急会合」を請求し、一応開催という運びとなったわけである。ここに、腑に落ちない点があるように思われる。
どうしてロシアだったか?
何故、米国や韓国筋の動きではなかったのか、ということがある。「天安」の時には、大失敗を演じ、大恥をかいた結果となったわけである。G8、安保理、ARFと相次いで失敗に終わり、煮え湯を飲まされる結果となったのが米韓外交だったわけである。その汚名を雪ぐ大チャンス到来となったにも関わらず、やけに静かな両国だった。率直に言って、「ヘンじゃないか?」と思うわけだ。今回は犯行が北朝鮮ということで確定しているので、何ら問題はないのだ。議長声明すら出せない、というのは、かなり疑問なのである。
更に、今回のロシア側の請求が、「北朝鮮への非難」ということだけに留まらず、韓国にも自制を促す、といった趣旨のものということらしい。なので、合意に至るのは難しいよ、ということで、あっさりと解散となったわけである。前回の米韓の粘りに比べて、やけに退き下がるのが早すぎやしませんかね?(笑)
プロレスってあるでしょう?
ああいうのも、ショーとしては時間とか、流れとか、そういうのが大事になると思うんですよ。「ハイ、ここは腕ひしぎが極まり、短時間でいきなりギブアップで○○の勝利という展開にして下さい」ってシナリオが決まってりゃ、その通りに進行しますわな、という話です。
少なくとも、米国が開催を請求するのは「困難だった」というのがあるはずである。そこで、ロシアに声を掛けたのではなかろうか、と。
すると、ヒールの北朝鮮&後見人的ポジションの中国、安保理では中国とタグを組むのがロシア、という展開になるな、と。これに対するは、韓国&同盟国アメリカで、これに与する日、英、仏、とった展開。
お約束の技の応酬をちょこっと見せて、没収試合、みたいな。双方とも勝敗付かず、試合そのものの不成立、みたいなもんだ。これなら、どちらも「傷つかない」ということにできるからだ。
米国が何故積極的に開催を要求してこなかったかといえば、北朝鮮とのお約束があったから、というのが当方の推測だったわけですから、今更言い出せるはずがないわけで。それは北朝鮮の手前、約束違反ということになるのも困るから、米国自身が動かない、というのを貫くよりなかった、と。そうすると、動かせそうなのは、ロシアくらいだね、ということは、誰でも想像がつく。
ロシアに手を挙げさせる
→安保理会合を開催した、という記録は残す
→双方物別れに終わる、という淡泊な展開に
→お約束通りに終了
これで、米国や韓国が「安保理に持って行かないのはおかしい」という批判を封じることができる、という展開ですか。あれです、法廷で「異議あり」と発言した、という記録を残してくれ、というような、一種のポーズなんかも一緒でしょう。それで何らかの効力があるとか、結果に影響を与えられるというようなものでなく、「仕事をしています」というアリバイ作りみたいなものでしょう。効果なんかどうでもよくて、「(私は)やりました」という結果だけを記録として残したい、というようなもの。
今回のロシアが要求した安保理緊急会合は、そういったプロレス趣向のものだったのでしょうね、というのが、私の印象です。
もしも、ロシアが国際社会に自分こそが「リーダーたるに相応しい」ということを示したいが為に、緊急会合を要求した場合には、双方ともに呑める程度の決議なり声明なりを考えてくるはずでしょう。少なくとも、米中両国にとって、受け入れ余地のある「落とし処」というのをまず探ってくるはずだし、多数派工作なんかもやるに決まっているでしょう。そういった下準備が全くないままで、物別れに終わった、ということであると、開催を要求する意味というものが殆どなくなってしまうでしょう。
韓国の砲撃演習が終了し、北朝鮮側に動きがなかったことから、今後に会合を継続する意味は薄れた、という意見は分からないでもない。が、仮にそうであるとしても、安保理決議なり声明なりが不要ということにはならない。何故なら、北朝鮮のやった行為(=砲撃)に対して決議を出す、ということであって、北朝鮮の将来の行動などについて評価するわけではないというのが、本来的には筋だからだ。
たとえ韓国の延坪島演習に対して、何らかの報復や軍事的対抗措置を北朝鮮が行わなかったからといって、北朝鮮が既に行った延坪島砲撃という事実が消えてなくなるわけでもなければ、罪滅ぼしとなるわけでもないからだ。北朝鮮が砲撃したという行為は事実として残っているのだ。その行為について、安保理が何らの声明すら出せない、なんてことは、およそ考え難い。その検討すら満足にすることなく、合意点を見つけ出そうという努力の跡もないままに、「じゃあ、散会」ということで終わらせるのは、何かウラがあるんじゃないですかね、という話です。
ハナからやる気が見えませんね、と。
金メダルのかかったオリンピックのレスリングの試合と、やる前から結果の分かっているプロレスの試合では、やってる人間の目の色が違いますね、ということなんですよ(笑)。
>時事ドットコム:国連安保理が緊急会合へ=朝鮮半島情勢で-ロシア通信社
(勝手な妄想を書いてみるから。
当方が16日に記事を書いてから、18日午後3時開催、ということになるまで、ごく僅かな時間しかなかったわけです。米国の外交筋は、仕事が早いな。情報を評価し、議題に上げてから、意思決定までが驚くほど短時間でできるのだな。そこから各チャネルを動員し、実際に話をつけるのがこれほど早く動けるとは、もう驚嘆に値しますわ。日本のマヌケ外務省にも見習って欲しいものです。でも、18日開催は各国メンバーの都合がつかずに流れてしまい、延期されましたな。そりゃあ、あんなに急に開催を宣告されても、あまり関係のない国々にとっては、寝耳に水の話だったでしょうから。それほど唐突すぎだった、ということでしょう。)
結末はこんな感じらしいです>朝鮮半島めぐる安保理協議打ち切りへ 中国は自らの努力を自賛 - MSN産経ニュース
(一部引用)
【ニューヨーク=松尾理也】朝鮮半島情勢をめぐる国連安全保障理事会の協議をめぐり、米国のライス国連大使は緊急会合での議論が物別れに終わって一夜明けた20日、国連本部で「議論を続けることは特に必要でも生産的でもない」と語り、協議はいったん打ち切られるとの考えを示した。
ライス大使は、ロシアの要請により緊急会合が開かれたものの、日米などと中露との対立が解けず物別れに終わった19日の段階から、安保理での議論には「なんの進展もなく、声明案についての具体的なやりとりも行われていない」と明かした上で、「少なくともひとつの理事国は、本国からの指示があったのかどうかさえ明らかにしていない」と、暗に中国を批判した。
韓国の軍事演習に北朝鮮が対抗措置を講じないと表明したこともあり、ロシアの緊急会合要請に端を発した今回の安保理での協議はいったん打ち切られる見通しとなった。
背景はよく分からない。
が、ロシアが唐突な「安保理緊急会合」を請求し、一応開催という運びとなったわけである。ここに、腑に落ちない点があるように思われる。
どうしてロシアだったか?
何故、米国や韓国筋の動きではなかったのか、ということがある。「天安」の時には、大失敗を演じ、大恥をかいた結果となったわけである。G8、安保理、ARFと相次いで失敗に終わり、煮え湯を飲まされる結果となったのが米韓外交だったわけである。その汚名を雪ぐ大チャンス到来となったにも関わらず、やけに静かな両国だった。率直に言って、「ヘンじゃないか?」と思うわけだ。今回は犯行が北朝鮮ということで確定しているので、何ら問題はないのだ。議長声明すら出せない、というのは、かなり疑問なのである。
更に、今回のロシア側の請求が、「北朝鮮への非難」ということだけに留まらず、韓国にも自制を促す、といった趣旨のものということらしい。なので、合意に至るのは難しいよ、ということで、あっさりと解散となったわけである。前回の米韓の粘りに比べて、やけに退き下がるのが早すぎやしませんかね?(笑)
プロレスってあるでしょう?
ああいうのも、ショーとしては時間とか、流れとか、そういうのが大事になると思うんですよ。「ハイ、ここは腕ひしぎが極まり、短時間でいきなりギブアップで○○の勝利という展開にして下さい」ってシナリオが決まってりゃ、その通りに進行しますわな、という話です。
少なくとも、米国が開催を請求するのは「困難だった」というのがあるはずである。そこで、ロシアに声を掛けたのではなかろうか、と。
すると、ヒールの北朝鮮&後見人的ポジションの中国、安保理では中国とタグを組むのがロシア、という展開になるな、と。これに対するは、韓国&同盟国アメリカで、これに与する日、英、仏、とった展開。
お約束の技の応酬をちょこっと見せて、没収試合、みたいな。双方とも勝敗付かず、試合そのものの不成立、みたいなもんだ。これなら、どちらも「傷つかない」ということにできるからだ。
米国が何故積極的に開催を要求してこなかったかといえば、北朝鮮とのお約束があったから、というのが当方の推測だったわけですから、今更言い出せるはずがないわけで。それは北朝鮮の手前、約束違反ということになるのも困るから、米国自身が動かない、というのを貫くよりなかった、と。そうすると、動かせそうなのは、ロシアくらいだね、ということは、誰でも想像がつく。
ロシアに手を挙げさせる
→安保理会合を開催した、という記録は残す
→双方物別れに終わる、という淡泊な展開に
→お約束通りに終了
これで、米国や韓国が「安保理に持って行かないのはおかしい」という批判を封じることができる、という展開ですか。あれです、法廷で「異議あり」と発言した、という記録を残してくれ、というような、一種のポーズなんかも一緒でしょう。それで何らかの効力があるとか、結果に影響を与えられるというようなものでなく、「仕事をしています」というアリバイ作りみたいなものでしょう。効果なんかどうでもよくて、「(私は)やりました」という結果だけを記録として残したい、というようなもの。
今回のロシアが要求した安保理緊急会合は、そういったプロレス趣向のものだったのでしょうね、というのが、私の印象です。
もしも、ロシアが国際社会に自分こそが「リーダーたるに相応しい」ということを示したいが為に、緊急会合を要求した場合には、双方ともに呑める程度の決議なり声明なりを考えてくるはずでしょう。少なくとも、米中両国にとって、受け入れ余地のある「落とし処」というのをまず探ってくるはずだし、多数派工作なんかもやるに決まっているでしょう。そういった下準備が全くないままで、物別れに終わった、ということであると、開催を要求する意味というものが殆どなくなってしまうでしょう。
韓国の砲撃演習が終了し、北朝鮮側に動きがなかったことから、今後に会合を継続する意味は薄れた、という意見は分からないでもない。が、仮にそうであるとしても、安保理決議なり声明なりが不要ということにはならない。何故なら、北朝鮮のやった行為(=砲撃)に対して決議を出す、ということであって、北朝鮮の将来の行動などについて評価するわけではないというのが、本来的には筋だからだ。
たとえ韓国の延坪島演習に対して、何らかの報復や軍事的対抗措置を北朝鮮が行わなかったからといって、北朝鮮が既に行った延坪島砲撃という事実が消えてなくなるわけでもなければ、罪滅ぼしとなるわけでもないからだ。北朝鮮が砲撃したという行為は事実として残っているのだ。その行為について、安保理が何らの声明すら出せない、なんてことは、およそ考え難い。その検討すら満足にすることなく、合意点を見つけ出そうという努力の跡もないままに、「じゃあ、散会」ということで終わらせるのは、何かウラがあるんじゃないですかね、という話です。
ハナからやる気が見えませんね、と。
金メダルのかかったオリンピックのレスリングの試合と、やる前から結果の分かっているプロレスの試合では、やってる人間の目の色が違いますね、ということなんですよ(笑)。