②「ハーグ陸戦条約」に反する行為
ロシアの言う「第二次世界大戦の結果」とは何か?
彼らにとっての結果とは、終了間際に日本領に攻め込んで占拠した、という事実であろう。外形的に見ると、ソ連が日本の領土を強奪した、ということでしかないわけである。喩えて言えば、イラク戦争でイラクに攻め込んだ米軍がどこかの地域を占拠したまま返還せず、イラクの領土を「米国のものだ」と主張して分捕るようなものである。戦争に勝ったら、何をやってもいいのか?
ロシアにとっての国際法とは、無視しても当然という考え方なのかもしれないが、それを許容するわけにはいかないのである。無秩序を奨励するような真似はすべきではない。
さて、その国際法であるが、有名なハーグ陸戦条約(協定、規約)というのがあるわけである。その中で、次のような規定がある。
▼第43条
国ノ権力カ事実上占領者ノ手ニ移リタル上ハ、占領者ハ、絶対的ノ支障ナキ限、占領地ノ現行法律ヲ尊重シテ、成ルヘク公共ノ秩序及生活ヲ回復確保スル為施シ得ヘキ一切ノ手段ヲ尽スヘシ。
▼第46条
家ノ名誉及権利、個人ノ生命、私有財産並宗教ノ信仰及其ノ遵行ハ、之ヲ尊重スヘシ。
私有財産ハ、之ヲ没収スルコトヲ得ス。
ソ連の行為は、いずれにも反する。
現行法の尊重などあったか?
名誉、権利、生命について尊重などあったのか?
私有財産の没収を行ったではないか。いや没収などという生易しいものではない。略奪である。
また戦勝国が占領地域を有しているとして、それだけでは領土の獲得にはならない。双方合意の条約締結―通常であれば平和条約とか講和条約などであろう―によって、戦後処理が確定される。戦闘で地域を占領しただけでは、その領土の帰属を占領国側のものとすることはできないはずである。
ロシアの言う「第二次世界大戦の結果だ」というのは、ソ連軍が不当にも占領を行った、という事実であって、占領イコール領土獲得を意味するものでない。ロシアは占領したことをもって、自国領土としての権利を主張しているものと思われるが、甚だ見当違いである。
更に占領地の実効支配を理由として所有を主張することもできない。
▼第55条
占領国ハ、敵国ニ属シ占領地ニ在ル公共建物、不動産、森林及農場ニ付テハ、其ノ管理者及用益権者タルニ過キサルモノナリト考慮シ、右財産ノ基本ヲ保護シ、且用益権ノ法則ニ依リテ之ヲ管理スヘシ。
この条項にあるように、占領国は占領地の公共建物・不動産・森林・農場の管理者及び用益権者に過ぎない、ということである。平たく言えば、一時的な管理人に過ぎず、所有者になれるわけではないということである。
ビルのオーナーでもない、ただの管理人に過ぎなかった人物が、「このビルはオレの支配下にある、だからオレのものだ」と一方的に主張し、ビルを不法占拠したまま、勝手にビル内部を改造したりビル内で集金したりしているようなものである。最近だと、このビル工事の「下請仕事をくれ」と言って近づいている中・韓がいるらしいが、類は友を呼ぶとはまさにこのこと。
無法者同士ウマがあう、ということかもしれない。
北方領土の私有財産部分はそもそもソ連に処分できる権限はない。国有財産部分についても管理者及び用益権者たる立場にしかなり得ず、領有を主張できるものではない。
”第二次世界大戦の結果”、ソ連軍はこうした管理者たる地位にはなれたかもしれないが、所有者にはなっていない。
ロシアのメドベージェフ大統領をはじめラブロフ外相などが言う「第二次世界大戦の結果」というのは、日本の歴史認識云々なんかには無関係に、ソ連は占領国という立場になった、というだけに過ぎない。
たとえ中国とロシアが一緒になって対日戦争戦勝記念を祝おうとも、連合国側の掠奪行為が正当化されるわけではない。法と秩序のない野蛮な世界の人間とか、暴力崇拝の無法者であると、「勝ったから奪っていいんだ、奪って何が悪い」という理屈になることは間違いないだろうけれども。
法よりも暴力が優先され正当化される国家ということなのであろう。
きっとニコライ2世も草葉の陰で泣いているに違いない。
ロシアの言う「第二次世界大戦の結果」とは何か?
彼らにとっての結果とは、終了間際に日本領に攻め込んで占拠した、という事実であろう。外形的に見ると、ソ連が日本の領土を強奪した、ということでしかないわけである。喩えて言えば、イラク戦争でイラクに攻め込んだ米軍がどこかの地域を占拠したまま返還せず、イラクの領土を「米国のものだ」と主張して分捕るようなものである。戦争に勝ったら、何をやってもいいのか?
ロシアにとっての国際法とは、無視しても当然という考え方なのかもしれないが、それを許容するわけにはいかないのである。無秩序を奨励するような真似はすべきではない。
さて、その国際法であるが、有名なハーグ陸戦条約(協定、規約)というのがあるわけである。その中で、次のような規定がある。
▼第43条
国ノ権力カ事実上占領者ノ手ニ移リタル上ハ、占領者ハ、絶対的ノ支障ナキ限、占領地ノ現行法律ヲ尊重シテ、成ルヘク公共ノ秩序及生活ヲ回復確保スル為施シ得ヘキ一切ノ手段ヲ尽スヘシ。
▼第46条
家ノ名誉及権利、個人ノ生命、私有財産並宗教ノ信仰及其ノ遵行ハ、之ヲ尊重スヘシ。
私有財産ハ、之ヲ没収スルコトヲ得ス。
ソ連の行為は、いずれにも反する。
現行法の尊重などあったか?
名誉、権利、生命について尊重などあったのか?
私有財産の没収を行ったではないか。いや没収などという生易しいものではない。略奪である。
また戦勝国が占領地域を有しているとして、それだけでは領土の獲得にはならない。双方合意の条約締結―通常であれば平和条約とか講和条約などであろう―によって、戦後処理が確定される。戦闘で地域を占領しただけでは、その領土の帰属を占領国側のものとすることはできないはずである。
ロシアの言う「第二次世界大戦の結果だ」というのは、ソ連軍が不当にも占領を行った、という事実であって、占領イコール領土獲得を意味するものでない。ロシアは占領したことをもって、自国領土としての権利を主張しているものと思われるが、甚だ見当違いである。
更に占領地の実効支配を理由として所有を主張することもできない。
▼第55条
占領国ハ、敵国ニ属シ占領地ニ在ル公共建物、不動産、森林及農場ニ付テハ、其ノ管理者及用益権者タルニ過キサルモノナリト考慮シ、右財産ノ基本ヲ保護シ、且用益権ノ法則ニ依リテ之ヲ管理スヘシ。
この条項にあるように、占領国は占領地の公共建物・不動産・森林・農場の管理者及び用益権者に過ぎない、ということである。平たく言えば、一時的な管理人に過ぎず、所有者になれるわけではないということである。
ビルのオーナーでもない、ただの管理人に過ぎなかった人物が、「このビルはオレの支配下にある、だからオレのものだ」と一方的に主張し、ビルを不法占拠したまま、勝手にビル内部を改造したりビル内で集金したりしているようなものである。最近だと、このビル工事の「下請仕事をくれ」と言って近づいている中・韓がいるらしいが、類は友を呼ぶとはまさにこのこと。
無法者同士ウマがあう、ということかもしれない。
北方領土の私有財産部分はそもそもソ連に処分できる権限はない。国有財産部分についても管理者及び用益権者たる立場にしかなり得ず、領有を主張できるものではない。
”第二次世界大戦の結果”、ソ連軍はこうした管理者たる地位にはなれたかもしれないが、所有者にはなっていない。
ロシアのメドベージェフ大統領をはじめラブロフ外相などが言う「第二次世界大戦の結果」というのは、日本の歴史認識云々なんかには無関係に、ソ連は占領国という立場になった、というだけに過ぎない。
たとえ中国とロシアが一緒になって対日戦争戦勝記念を祝おうとも、連合国側の掠奪行為が正当化されるわけではない。法と秩序のない野蛮な世界の人間とか、暴力崇拝の無法者であると、「勝ったから奪っていいんだ、奪って何が悪い」という理屈になることは間違いないだろうけれども。
法よりも暴力が優先され正当化される国家ということなのであろう。
きっとニコライ2世も草葉の陰で泣いているに違いない。