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ロシアは北方領土の不法行為を認めよ~3

2011年02月20日 14時35分20秒 | 外交問題
③ロシアには領有の根拠はない

ロシア人は言う。
「第二次大戦の結果、我々の領土となった」
それが本当に国際社会で通用する論拠ならば、出るところに出て決着を付けたらいい。旧ソ連、今のロシアが北方領土を自分たちのものだと主張する論拠があるのなら、それを示せばいい。
ロシアは日本の主張する点について反論してきたりはするけれども、何故自分たちの領土であると主張できるのかについて、まともに理由など示したこともないんじゃないのか?
第二次大戦の結果、というのは、ヤルタ協定のことか?
ヤルタ会談 - Wikipedia


ロシアが言う根拠というのは、ヤルタ会談での秘密協定で「ソ連が頂くと決めたんだ」ということしかないのではないか?
また喩えで申し訳ないが、それがどういうものかを平易な例にしてみよう。
まず、AとBが銀行強盗をしようと企んでいた。銀行の警備員は銃を装備しているのできっと反撃してくるに違いないだろうから、誰か手助けしてくれるヤツがいると助かるなと考えていた。そこに丁度Cが表れて、「オレも一緒にやらせてくれ」と言ったわけだ。ああいいよ、ということで、AはCに「銀行強盗に成功すれば、お前には10万ドルやろう」という約束をした。
で、銀行強盗成功の暁には、Cは「銀行から奪った10万ドルはオレの手の内にある、だから、この金はオレのものだ!」と主張できるよ、ということだ。

これに類することを言っているのが、ロシア人である。
どうやらロシアの法によると、こういった不法な約束を前提としていても、現実に今手の中に納めているヤツが所有権を主張でき、それが正しいと信じられているということである。平たく言えば、不法原因給付みたいなものではないか。ソ連が奪った領土は、不法原因によって”給付を受けた”結果である、というのと似たようなものなのである。

ヤルタ会談での密約を論拠として領有の主張をするのは、明らかに違法である。

これには、更にオマケが付く。
以前のサンケイ記事で紹介されていたのだが、記事のリンクが消えたので、一部だけ紹介しよう。これは、チャーチル首相の通訳をしていたヒュー・ルンギ氏の証言である。

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ヤルタ会談についてルンギ氏は「ソ連は対ドイツ戦の勝利をほぼ手中に収めていた。 スターリンはご満悦の様子で、彼を取り巻く空気は快活そのものだった」と振り返る。 そして「極東問題はルーズベルトとスターリンの2人で話し合われ、チャーチルは署名に 応じただけだった。それが公に知られるようになったのは戦後何年もたってからだ」と語る。

ルンギ氏がヤルタ協定の存在を知ったのも戦後のことだが、「スターリンはルーズベルトに『千島列島は日本が第二次大戦で占領した領土の一部だ』とデタラメの説明をした。
ルーズベルトは、千島列島が日本の領土になった歴史的経緯を正確に示した米国務省の資料に、 目を通していなかった」と説明。「千島列島は1875年の樺太千島交換条約でロシアから譲渡された日本の領土で、引き渡しは国際法上の誤りだ」と断言した。

チャーチルのすぐ後ろで3首脳のやり取りを観察した氏は、スターリンについて「彼はすべての事実と、自分が何を求め、何を成し遂げたいのかを知っていた。非常に簡潔に要点を突いて話し、袋小路に迷い込むことはなかった」という。すべて暗記していて誰の力も借りず受け答えし、「会談中、一切メモを受け取らず、 決意が固いことを周囲に見せつけようとしていた」という。
一方、高血圧を患っていたルーズベルトは「見るからに調子が悪そうだった。顔はロウのように黄色かった。顧問団から多くのメモを受け取り、質問に答えるのを助けてもらっていた。チャーチルともメモを交換していた」と振り返る。

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このように、スターリンのウソの説明によって、ルーズベルトは騙されたということなのだよ。不誠実な説明によってルーズベルトは誤った判断を誘導されてしまったのだ、ということである。
日本がソ連を騙したんじゃないぞ。
ソ連がアメリカを騙したんだ。


上の記事を書いた記者氏の別な参考記事も紹介しておく。
【土・日曜日に書く】ロンドン支局長・木村正人 ヤルタ協定に残された暗号  - MSN産経ニュース


それと、日本は放棄したんだ、というようなことを言うこともあるが、サンフランシスコ条約はソ連は署名してないから、言える立場にない。

それから、日本が平和条約締結で放棄したと言われている「Kurile Islands」だが、4島は含まないというのがそもそもの出発点だ。
ロシア人は、国後、択捉、歯舞、色丹の4島について、クリル諸島とは言わない。「南クリル」と呼ぶのである。それは、現在のロシアの閣僚でも、そうだ。

日本はロシアと1875年の千島・樺太交換条約を締結した時、樺太をロシアに譲渡し、代りに「Kurile Islands」を受け取ったのである。その時には、既に4島は日本領だった。だから、ロシア帝国から4島を受け取ったわけではないのである。ロシア人の言う「クリル諸島」を、日本が譲り受けましたというのには、「南クリル」は元から含まれていない。

名称やグループ分けの定義などに混乱が見られるが、それは、過去の経過の中で全ての情報を正確に知っている人間たち以外にも名称を用いて誤用、濫用を含みつつ議論されてきたりしたのが原因で、少なくとも日露戦争以前から日本領だったものを「第一次世界大戦後に獲得した領土」だの「強欲の結果、獲得した領土」だのという範疇に入れられたのでは、たまったものではないのである。


米英中は「領土不拡大」原則を確認していたのだから、ソ連が領土を拡大できる理由などないのだ。
ソ連がポツダム宣言に参加した時点で、カイロ宣言に拘束されるのは当然である。


世界には出鱈目が通用する時代があった。それは、暴力支配が圧倒的優勢だった時代だ。暴力に屈するのは、弱者にとって止むを得ないという時代だった。
しかし、それを許し続ければ、やっぱり暴力が勝利してしまう、ということを招くのである。暴力が支配する世界を望むのか?
ロシアは、北方領土の獲得経緯が「不名誉なウソ」によるものだということを当然知っているであろう。
日本が原爆を投下され、ポツダム宣言の受諾直前であることを知った上で、掠奪しにやってきたソ連軍が連合国をも騙して獲得した土地なのだ、ということだ。

これを恥じることもなく、むしろ「奪ったものは絶対に返さない」という強欲さをメドベージェフ大統領以下が国際社会にアピールしているのだ。日本は戦争に負けたから奪われたんだ、という彼らの理屈を認めてしまえば、暴力と強欲を正当化し称揚する世界に逆戻りするのと同じである。
戦争に勝った者が正しい、勝利した者は奪い取ることを許される、どのような手段をもってしても勝てばいい、という、昔みたいな愚かな時代に戻ってしまうということである。