小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

スポーツにおけるコーチのアドバイス

2009-01-27 00:41:37 | 武道・スポーツ
スポーツにおけるコーチのアドバイス

スポーツにおいてコーチは生徒に色々なアドバイスをする。テニスなら、膝をまげろ、だのボールをよく見ろ、だの外見のフォームのアドバイスが多い。それはそれで間違ってはいない。だが生徒はコーチに言われたように外見だけ直そうとするのは、良くなく、かえって悪いことでさえある場合が多い。膝をまげろ、と言われて何も考えずに膝を曲げればすぐに上手くなるというものではない。かえって外見に意識をとられ、本質を見失う可能性すらある。認識の受け渡しがいかに困難であることか。コーチは生徒の外見は認識できている。しかし大切な事は生徒が認識を実感としてつかみとる、という事なのだ。これは容易ではない。生徒はコーチに言われたアドバイスを咀嚼して、自分が、どういう事を意識してフォームを変えたら、結果としてコーチに言われた外見のフォームの変化が現れるか、という事を自分で考えなくてはならない。スポーツにおいて大切な事は、あくまで運動の本質的な要素の意識なのである。
さらに大切な事は。
コーチは、生徒に欠点があると、どうしても生徒にアドバイスしてしまいたくなる。
しかし、そもそも人がスポーツをする目的は違う。ある人は血糖値やコレステロール値を下げるための運動のためであり、ある人はスポーツが上手くなりたいためである。自分のクセというものは容易には直らないものである。運動のために汗をかきたい、と思っている人に毎回、同じ注意をすると、嫌気がさしてしまうものである。コーチは、その人の性格や運動の目的まで本当は考えるべきなのだが。そこまで出来るコーチは、まずいない。生徒は自分が運動する目的はわかっている。しかし、それを理解できるほどのコーチはいない。
生徒は、自分が運動する目的はわかっているから、時にはコーチのアドバイスは無視した方がいい場合もあるのである。コーチのアドバイスとは完全なものではないのである。
自己流と個性の違い。
運動においてこうでなければならない、という万人に共通する形はないのである。
誰でも体格、筋力、持久力、性格、好み、は違う。また運動の目的や生活の中で運動をする意味、運動にさける時間、は人によって異なる。
大切な事は、人と異なる自分の特性をよく考えた上で、自分に合った形を、コーチのアドバイスも考慮しながら最終的には自分で考えてつくりあげる事なのである。
たかが趣味のスポーツと侮ってはならない。
スポーツの中で考え、最終的に到達した自己実現は自分の人生の自己実現の達成にも応用が利くはずである。

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