本棚の隅から出てきた一冊。
最初に読んだのは30代の頃かな....? この頃に読んだ本はだいたい処分したのですが、残ってるということは、もう一度読み直そうと思っていたのでしょう。
そんなわけで、読み返してみました。
昭和40年代に日本を席巻した公害問題。わたしは小学生の頃でした。
映画館にゴジラ対へドラを観にいきましたが、いまだ挿入歌(♪かーえせ、っての)が頭に残ってます^^;
当時の公害問題が、正確に、客観的に、資料をもとに描かれた小説です。
農薬、除草剤、化学肥料、合成洗剤、PCB、排気ガスなどの毒性を持った化学物質は、それ単体でも人体に影響を及ぼしますが、これらが複数混合すると、毒性が強くなったり、それまでになかった毒性を持つことが知られています。これが、複合汚染です。
複合汚染は、現在の科学ではわからないことだらけです。作者は、複合汚染について、知られていないことを知ることを説き、ひとりひとりが複合汚染を現状を意識することを呼び掛けています。
物語は、第10回参院選に、全国区から市川房江、青島幸夫、東京都から紀平悌子が立候補し、作者が応援演説で一緒に選挙活動をすることから始まります。紀平悌子の市民運動から、話は公害問題全般に展開されていきます。
この本が発売されてから今年で43年。文中には、現在の汚染物質が人体に影響を与えないレベルになるのに数十年、とありますが、果たして現在は当時の汚染状況と比較して改善されているのでしょうか。改めて、現在の公害問題を考えるきっかけになる一冊だと思います。
農薬ホリドールは脳神経に作用し、農家の人々の自殺を増やしましたが、脳神経に作用する複合汚染物質は他にもあるかもしれないし、それは不明で、人智の及ぶところではありません。
1974年の参院選挙の記述をみると、現代とは隔世の感があります。
現在の、嘘つき政治家の横行、拝金主義、差別主義、政治への無関心、御都合主義。さらには、2000年代になってからGDPが伸びず、国際社会から置いて行かれるばかり、世界でもっとも進歩の少ない国のひとつ、日本。
それらすべての原因はかつての複合汚染からくる脳神経の退化によるものではないのか、と読書中に考えてしまいました。
作者プロファイル。
書誌事項。
こちらの本で44版、ベストセラーです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます