このところ、わしが読んだ本をばあさんが読んだり、ばあさんが読んだ本をわしが読んだりと、まるで中学生のように本を交換して読んでいるのですが、「これ読んでみろ」とばあさんが持ってきたのがこちら。
おととしの芥川賞受賞作。
芥川賞らしからぬ、とばあさんが評していたのですが、そこのところは同感で、芥川賞とは何か?純文学とは何か?と考えさせられる作品でした。
この作者の文体には独特のグルーブ感があって、読者を没頭させる不思議な力を感じます。
平野啓一郎は、『「ページをめくる手が止まらない」小説ではなく、「ページをめくりたいけどめくりたくない、ずっとその世界に浸りきっていたい」小説を書きたい』と述べていますが、
この今村夏子の小説は、明らかに「ページをめくる手が止まらない」方ですね。寝る前に読み始めるも、眠気を感じないまま一気に読んでしまいました。
一人称である「わたし」の視点で、むらさきのスカートの女を追っていく形式でストーリーは進みますが、不自然なほどの「わたし」の情報力に疑問を感じつつも、むらさきのスカートの女のキャラが鮮明に浮き出され、その世界に没頭してしまいます。
この作者のような筆力にはあこがれを感じます。もしもわたしにこれほどの筆力があれば、このブログももっと面白く読みやすく書けるのにな、と思う次第です。
こちら作者プロファイル。いろんな賞をとってますね。
出版情報はこちら。四刷ですか、売れてるなー。
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