Humdrum++

ツリオヤジのキドニーケアな日々 ~ 知れぬ事は知れぬまゝに、たやすく知れるのは浅い事 (葉隠 聞書第一0202)

許されようとは思いません - 芦沢央 (新潮文庫)

2021-12-17 09:35:40 | 読書メモ

ばあさんが唐突に「これ読んでみろ」と置いて行った一冊。

特に理由は言わないのですが、自分で読んで面白かった本なのでしょう。
そのときは別の本を読んでいたので、この本は本棚の隅っこに放っておいたのですが、ふと思い出して手にとってみました。

芦沢央、知らない作者です。どんな小説なのか、男か女かもわからない。あえて事前知識を得ずに読んでみることにしました。カバーをはずし、むき出しの状態の文庫本を読み始めます。

小気味よいテンポで進むストーリーで、最初の一編「目撃者はいなかった」が終わりました。ここで初めてこの本が5編からなる短編集ということに気づきました。主人公の心の弱さを冷静かつ巧みに突く女性。カタストロフィからは江戸川乱歩の作品が頭に浮かびます。これは面白い本だ。

続く、「ありがとう、ばあば」、「絵の中の男」と、心の中にある暗渠に立ち入っていくストーリー展開、そのテーマと文体から、作者は女性だということがいつしか確信されました。そしてやはり頭に浮かぶのは江戸川乱歩でした、読み終えたら作者について調べてみよう。

4編め、「姉のように」では、作者の仕掛けたトリックに見事に引っかかりました。わたしは人間が素直なので^^;、このようなトリックにすぐに引っかかります。先日、平野啓一郎の「決壊」を読んだときも同じような気分になったことが思い出されます。

5編め、タイトルチューンの「許されようとは思いません」は、一転して超常現象を匂わせる話、この短かさでここまで緊張感を高める筆力は凄い。

と、望外に楽しめた一冊でした。
読み終えて、カバーの情報をみてみました。

こちらが内容紹介。ミステリー小説とカテゴライズされているようです。

作者が若い、うちの子どもの世代じゃないですか。
他の作品も読んでみたい、と思わされる作家です。

こちら書誌情報。
央は「よう」と読むのも、本を読み終えた後に知りました^^;

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 60代の生き方へにほんブログ村

p.s. 昨日の暴飲暴食を反省し、今日はすべて規定値内。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ドーン (講談社文庫) / か... | トップ | 元祖札幌や 久里浜店 / サ... »

コメントを投稿

読書メモ」カテゴリの最新記事