ばあさんが唐突に「これ読んでみろ」と置いて行った一冊。
特に理由は言わないのですが、自分で読んで面白かった本なのでしょう。
そのときは別の本を読んでいたので、この本は本棚の隅っこに放っておいたのですが、ふと思い出して手にとってみました。
芦沢央、知らない作者です。どんな小説なのか、男か女かもわからない。あえて事前知識を得ずに読んでみることにしました。カバーをはずし、むき出しの状態の文庫本を読み始めます。
小気味よいテンポで進むストーリーで、最初の一編「目撃者はいなかった」が終わりました。ここで初めてこの本が5編からなる短編集ということに気づきました。主人公の心の弱さを冷静かつ巧みに突く女性。カタストロフィからは江戸川乱歩の作品が頭に浮かびます。これは面白い本だ。
続く、「ありがとう、ばあば」、「絵の中の男」と、心の中にある暗渠に立ち入っていくストーリー展開、そのテーマと文体から、作者は女性だということがいつしか確信されました。そしてやはり頭に浮かぶのは江戸川乱歩でした、読み終えたら作者について調べてみよう。
4編め、「姉のように」では、作者の仕掛けたトリックに見事に引っかかりました。わたしは人間が素直なので^^;、このようなトリックにすぐに引っかかります。先日、平野啓一郎の「決壊」を読んだときも同じような気分になったことが思い出されます。
5編め、タイトルチューンの「許されようとは思いません」は、一転して超常現象を匂わせる話、この短かさでここまで緊張感を高める筆力は凄い。
と、望外に楽しめた一冊でした。
読み終えて、カバーの情報をみてみました。
こちらが内容紹介。ミステリー小説とカテゴライズされているようです。
作者が若い、うちの子どもの世代じゃないですか。
他の作品も読んでみたい、と思わされる作家です。
こちら書誌情報。
央は「よう」と読むのも、本を読み終えた後に知りました^^;
p.s. 昨日の暴飲暴食を反省し、今日はすべて規定値内。
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