文学少女と孤独(PART 1 OF 3)
私は骨の髄まで文学少女なのです
「文学少女」は普通の小説である。
探偵小説壇には普通の小説に似たものを書く人も多いけれど、その気迫において「文学少女」までいたっている作品は非常に少ないのではないかと思う。
短い短編の中に類型ではあるが、しかし決して通常人ではない一人の文学少女の生涯が、簡潔に、しかし溢れる「情熱」と「自尊心」とをもって描かれている。
。。。
僕はかつて、「日本探偵小説傑作集」の序文で、探偵作家諸君の作風を紹介したことがあるが、その中で木々高太郎君だけは、少し見誤っていたことを告白しなければならない。
彼の文学執心には医学者の余技以上のものがある。単なる精神分析作家ではない。
文学心に燃ゆること、探偵小説界彼の右に出(い)ずるものもないほどであることが、だんだん分かってきた。
僕は彼の作品に、スリルまでに高められた「情熱」と「自尊心」とを感じる。
それが人を打たぬはずはない。
「文学少女」でいえば、わざと学校の答案を間違って書くというくだり、
「恋愛は二人のことだけれど文学は孤独の業である」というくだり、
大心池(おおころち)博士が具体的表現ということから女主人公の文学素質を看破するくだり、
有名な小説家に自作を剽窃(ひょうせつ)されて怒るよりも喜ぶという心理、
その謝礼金の小切手を夫が費消(ひしょう)したことを知って、突如としてメチルアルコールを買いに行くあたりの描写、
そして、女主人公が獄中で一躍流行作家となる運命。
「先生、痛みなどは何でもありません。私は始めて人生を生きたいという希望に燃えて来ました。
(中略)
文学というものは、なんという、人を苦しめ、引きちぎり、それでも深く生命の中へと入って消すことのできないものでしょう。
でも、私はもう七度(たび)も生まれてきて、文学の悩みを味わいたいのです。
私は骨の隋まで文学少女なのです」
これは女主人公が普通の人には堪えられぬ程の骨の痛みに堪えながら、大心池先生に叫ぶ言葉であるが、僕はそれを作者木々高太郎の絶叫ででもあるように錯覚して、快い戦慄を禁じえなかったのである。
そして...
「お願いが一つあるのです。。。それは私はもう一度生まれてきて、文学をいたします。そしたら、やっぱり先生が見出してくださいますわね」
「。。。ミヤが心の内で、先生に接吻しているのを許してください」
…とやせ細った手を上げたが、それは先生を身近く招くためではなくて、近づこうとする先生を、近づかぬように制するためであった。
…という幕切れの、パッと消えてゆく情熱の花火が、消え行く刹那、たちまちその色彩を一変して見せるかのごとき、すっきりしたあの味。
僕は木々高太郎君が、「情熱」の作家であることを知っていた。
しかし彼のより以上の特徴が自尊心の作家であるということをハッキリ認識したのはつい三四ヶ月以来である。
僕は以前からも、それを漠然と感じて、「気迫」という言葉で言い表わしていたが、「自尊心」というのがもっと適切である。
pp.511-513
「文学少女」より
『江戸川乱歩全集 第25巻 鬼の言葉』
監修: 新保博久・山前譲
2005年2月20日 初版1刷発行
発行所: 株式会社 光文社
デンマンさん。。。どうしてこの文章を持ち出してきやはったのォ~?
マジで、わては感動したのやがなァ~、全集第25巻の中では最も感動的な文章やったでぇ~。
感動したってぇ、どのようにィ~。。。?
初めて読んだとき、乱歩先生の感動と戦慄が生々しく伝ってくるようやったでぇ~。。。ヒロインの激痛やとか、文学にハマってしもうた、その情熱や、苦しみ。。。そして、ヒロインと大心池先生との会話。。。乱歩先生が味わった感動が、わてにもマジで伝わってきたのやがなァ~。
会話ってぇ~、どういう所が良かったのでおますのォ~?
次のところやがなァ~。
「お願いが一つあるのです。。。
それは私はもう一度生まれてきて、
文学をいたします。
そしたら、やっぱりデンマンさんが
見出してくださいますわね」
「。。。めれんげが心の内で、
デンマンさんに接吻しているのを
許してください」
…とやせ細った手を上げたが、
それはデンマンを身近く招くためではなくて、
近づこうとするデンマンを、
近づかぬように制するためであった。
うしししし。。。ここの所を読んで、わては涙がにじみ出てくるほどに感動したでぇ~
なんでぇ~、わたしとデンマンさんがお芝居しなければならへんのォ~?
あのなァ~。。。文学というもんは、自分と自分が愛している人をその状況に置くから、しみじみと感動するのやないかいなァ~。。。この場合には、めれちゃんがヒロインになって、わてが大心池先生になるのやがなァ~。。。そうやって上の文章を読むと、急に涙がにじんでくるのやでぇ~。。。めれちゃんだってぇ、そのように感情移入して読むことがあるやろう?
わたしが、デンマンさんのことを想いながら上の文章を読むだろうと。。。あんさんは思うたのですかァ~?
そうやがなァ~。。。違うのかア~?
違いますやん。。。どうして、わたしがデンマンさんのことを想わなあかんのですのォ~?
だってぇ~、めれちゃんは、わてのことを愛しておるのやろう?。。。違うのかァ~?
違いますがなァ~。。。わたしは、ハッキリと短歌に詠(うた)いましたやんかァ~!
何てぇ~?
あんさんは、もう忘れてしもうたのですかァ~?次のように詠(うた)って気分がスッキリしたのですねん。
青空
朝は来る
きみと別れて
なぜかしら
わずらわしさも
晴れて青空
by めれんげ
2009.03.17 Tuesday 08:34
『即興の詩 青空』より
『愛のうしろ姿 (2009年3月27日)』にも掲載。
やっぱり、めれちゃんは、わてと別れたつもりでおるのんかァ~?
つもりではあらへん。。。わたしは、マジであんさんと別れたのですねん。
そうかァ~。。。?
あんさんは、信じようとしておまへんなァ~!?
そやかてぇ、わては神さんのお告げを聞いたのやでぇ~。。。
どの神さんですのォ~?
モンスターエンジンと一緒に出てくる神さんやがなァ~。うへへへへへ。。。
そのヤらしい笑いだけは、お止めになってくれへん?。。。それで、何て言うてはったん?
その神さんが、めれちゃんの詩を朗読したのやがなァ~。
どの詩を読みはったのですかァ~?
次の詩やがなァ~。めれちゃんも、じっくりと読んでみィ~なァ~。
わたしが愛しているあなたは誰?
2006.11.05 09:17
現実から逃げ出したわたしは
今でもあなたを愛しつづけている
もうどこにもいないあなたが
今でも存在していると信じている
わたしを悲しませるのは誰?
わたしが愛しているのは誰?
わたしは誰と傷つけあっているの?
あなたではない誰かだと
わかっているのに
どうしてもあきらめられずに
いつまでも現実へ戻れない
誰かをあなただと思いこんだまま
愛される時を待ち続けるわたしの
おろかな心もすでに
死をむかえてしまった
by めれんげ
『わたしが愛しているあなたは誰?』より
『即興の詩 by めれんげ』
『本気で結婚を考えていますか?』に掲載。
(2008年3月28日)
この詩がどうだと、あんさんは言うのですかァ?
わては、神さんがこの詩を朗読するのを聴きながら涙が出てきよったでぇ~。
あんさんは、また、わたしがあんさんのことを想いながら上の詩を詠んだと妄想したのでおますのォ~?
妄想なんかじゃあらへんでぇ~。。。わては、めれちゃんの心に触れたのやがなァ~。
わたしはどんなに愛する人が居ようと、その人のために詩を詠むことはあらへんとォ~、何べんもあんさんに言いましたやんかア!。。。あんさんは、忘れてしもうたのどすか?
その最後のところは、京都弁とちゃうかァ~?
何弁でもよろしおますう~。余計な事は言わんといておくれましなァ~。
でもなァ~、めれちゃんは確かに次のように言うたでぇ~。
ひでさん。コメントありがとうございます!
このブログは、フィクションですので、
怒ったり、恋したり、
いろいろと忙しいのです
その中で読むかたが、何かを感じてもらえれば
とてもうれしいです!
これからも、よろしくお願いしますね♪
by めれんげ
2009/03/19 10:33 AM
『即興の詩 春に恋して』のコメント欄より
『愛の虚構 (2009年3月23日)』に掲載。
そうですやん。わたしの詩もフィクションでおますのやでぇ~。
そやけどォ、めれちゃんだって言うてるやんかァ。
なんてぇ~?
その中で読むかたが、
何かを感じてもらえれば
とてもうれしいです!
だから、わては、めれちゃんの心に触れたのやないかいなァ~。
わたしの心ってぇ~?
(すぐ下のページへ続く)